東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が7月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナ感染症を2類相当から5類相当へ分類を見直した場合の感染症法上の扱いについて解説した。
2類と5類の扱いの違い
飯田浩司アナウンサー)新型コロナ感染症の、感染症法上の扱いについて、2類相当から5類相当へ扱いを改める必要性があると東京都医師会が訴えています。では、どのように変えればいいのかというところですが。
全数把握か定点把握か
尾﨑)2類の場合は、陽性が判明したら即座に保健所に届け、原則として入院・隔離が必要です。5類の場合でも、感染が判明したら全数把握というのもあります。例えば、エイズや梅毒は、感染がわかればすべて届けなくてはなりません。
飯田)エイズや梅毒の場合は。
尾﨑)ところがインフルエンザなどは、定点観測、定点把握と言いまして、地区の医師会が定点観測しています。それを報告することによって、インフルエンザの大体の数はわかるのですが、全数は把握していません。そこが、2類と5類では異なります。全数把握するのか、定点把握するのかという違いがあります。
2類相当の現在は入院から検査の保険適用の自己負担分は公費で負担 ~5類になると保険適用の自己負担分は払わなければならない
尾﨑)もう1つは、新型コロナウイルスの場合、2類相当なので、検査や入院は保険適用され、なおかつ自己負担分は公費負担になります。しかし、インフルエンザと同等の5類相当になると、保険はききますが、自己負担分は払わなくてはならない。インフルエンザが拗れて入院になった場合も、お金は払わなくてはなりませんが、2類であれば公費負担になります。そこが変わっていきます。
「5類相当」でも全数報告と検査、入院等の公費負担については「2類相当」と同じ扱いにする
尾﨑)この2点の大きな違いについて、全数把握はまだ続けた方がいいのではないかと思います。現状コロナ感染症について、全部が解明されたわけではないですし、刻々と変わる感染状況をリアルに掴むためには、全数報告がまだ必要ではないかと思うのです。
飯田)全数報告が必要。
尾﨑)また、インフルエンザのような5類となると、自己負担分が出てきます。そうすると、「コロナ感染の疑いがあるのでPCR検査をしてください」と言っても、「お金がかかるので受けたくない」という人も出てくる可能性があります。経口薬なども出てきましたが、これも自己負担ということになりますと、保険点数が高くなって相当な額になる。入院もそうです。
飯田)自己負担が増えて。
尾﨑)そうすると、お金がかかるから入院したくない、検査もお金がかかるからやりたくないという人が増える可能性があります。それでは正しい感染者数がわからず、治療する人も減ってしまいます。
飯田)正しい数が把握できない。
尾﨑)そのようなことを防ぐために、5類相当にするのだけれど、全数把握は続ける。自己負担を公費で行っている部分の仕組みはそのまま残しながら、原則は入院、隔離する。また濃厚接触者に関しては現実に即した形で、例えば緩めていくなど、そういう議論をしていただきたいということです。
飯田)5類にすると言っても。
尾﨑)いま皆さんが議論しているのは、どちらかと言うと「2類ではなく5類、インフルエンザと同じ扱いにしてくれ」というような話になっています。しかし、そうすると先ほど申し上げたような、いろいろな不具合が出てくる可能性が高いということです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます