50歳以上に「帯状疱疹」が増えている理由

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東京医科大学皮膚科教授の大久保ゆかり氏が12月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。責任世代に増え始めている「帯状疱疹」について解説した。

50歳以上に「帯状疱疹」が増えている理由

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

「帯状疱疹」が再び増えている理由 ~ワクチンの定期接種によって子どもの水疱瘡が減少

飯田浩司アナウンサー)皮膚科にまつわる、さまざまな病気や症状について教えていただこうと思います。まずは最近よく聞くので気になっている、「帯状疱疹」についてです。実は、少し前にうちの妻もなりました。最近、帯状疱疹は増えているのですか?

大久保)全般的に少しずつ増えて来ています。小さいころ、皆さん水疱瘡にかかりますよね。帯状疱疹は水疱瘡と同じウイルスなのですが、水疱瘡に対するワクチンが、お子さんは定期接種になりました。

飯田)そうですね。

大久保)私たちが子どものころ、水疱瘡の方は周りによくいらっしゃったのですが、最近は水疱瘡ができているお子さんをあまり見ないですよね。

加齢で体力が落ちると潜伏していたウイルスが活発化する ~50歳以上は要注意

大久保)ワクチンのおかげで、発症することが少なくなりました。水疱瘡の人に触れ、水疱瘡になると、ウイルスが脊髄のところに潜伏してしまうのです。潜伏しても、体力があるうちは、そこに静かに留まっているだけで発症はしないのですが、体力が弱ってしまうと、潜伏しているウイルスが元気になって出て来てしまうのです。

飯田)抑えられて留まっていたウイルスが。

大久保)ウイルスは脊髄の神経節というところに潜伏しているので、元気になると神経に沿って出て来ます。神経に沿って出て来るので、発症すると半身の神経節の部分に、痛みやかゆみが出るのです。

飯田)半身に。

大久保)実際に潜伏していても、ときどき水疱瘡に罹っているお子さんに触れると、知らないうちにウイルスに触れることによって、抗体が増える効果があり、そのために帯状疱疹が発症しにくくなる。

飯田)知らないうちにウイルスに接触して、知らないうちに抗体が増える。

大久保)要するに、水疱瘡にかかったあと、身体のなかに抗体ができて防いでくれているわけです。ところが、時間が経つと抗体が下がって来ます。落ちて来たところで再び水疱瘡の人に触れると、ウイルスに触れるから、再び抗体が増えて帯状疱疹を発症しにくくなるのです。

飯田)潜伏したまま、抑えることができた。

大久保)最近は水疱瘡のお子さんが少なくなっているので、私たちが水疱瘡を発症したあと、再び水疱瘡の方に触れる機会が減っているということが、1つの原因ではないかと言われています。それで徐々に増えて来ているのです。特に50歳以上。

飯田)そうなのですか。

大久保)やはり、抗体が下がって来ているから発症しやすくなるのだと思います。また、加齢で体力が低下して行きます。50代以上というと、社会的にも忙しいし、ストレスが多い年代です。疲れたり睡眠不足になったりすると免疫力が落ち、潜伏しているウイルスが元気になって発症してしまう、ということです。

50歳以上に「帯状疱疹」が増えている理由

新行市佳アナウンサー、大久保ゆかり氏、飯田浩司アナウンサー

大人でも水疱瘡のワクチン接種は可能

飯田)水疱瘡のウイルスが悪さをするということですが、水疱瘡のワクチンはみんな打っています。大人になってから、また接種を受けることはできますか?

大久保)最近、免疫力が低下している人が打てるワクチンが出て来ています。糖尿病であったり、免疫が低下するような特殊な病気をお持ちの方は、50歳以上になったらクリニックや大きな病院でご相談いただければ、予約して打つことができます。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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