人工透析を必要とする3大疾患とは ~65歳過ぎたら要注意
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東京都医師会理事で「三軒茶屋病院」院長の腎臓専門医、大坪由里子氏が11月30日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。人工透析が必要になる病気、健診・検診の重要性について解説した。
人工透析を必要とする3大疾患 ~「糖尿病性腎症」「腎硬化症」「慢性糸球体腎炎」
飯田浩司アナウンサー)そもそも人工透析が必要となる病気には、どういったものがあるのですか?
大坪)現在では糖尿病が原因になっている「糖尿病性腎症」という原因疾患が、約4割を占めています。2番目に多いのが、高血圧が原因で起こる「腎硬化症」といって、動脈硬化などが進んで腎臓が硬くなり、機能しなくなってしまうものが約16%。それから、昔はこれがいちばん多かったのですけれども、腎臓が慢性的に炎症を起こしている「慢性糸球体腎炎」です。その3つが主な原因になっています。
飯田)1位の原因は突き詰めれば糖尿病で、2位の原因は突き詰めれば高血圧と。一気に「そういえば自分も」と思い当たる病気が出て来ますね。
主な原因は生活習慣病
大坪)そうですね。生活習慣病の主な原因が、かなり影響して来ると思います。
新行市佳アナウンサー)原因としては後天的な病気が多いということでしょうか?
大坪)そうですね。先天的な原因、例えば生まれながらに腎臓に奇形があるような場合は、透析導入にはなるものの、1%未満の本当にまれなものです。ほとんどが生活習慣病に関連する、後天的な原因が多いと言われています。
全国で34万人が人工透析を受けている
新行)患者数は増えているのでしょうか?
大坪)2019年末のデータが最新のものとなりますが、34万人の方が全国で透析を受けていらっしゃいます。
飯田)男女比や年齢はどうなっているのですか?
大坪)男性が65%、女性が35%くらいで、どちらかと言うと男性の方が多いです。平均年齢は69歳です。
飯田)そうなのですか。
大坪)平均年齢がだんだん上昇して来ていて、いちばん多い年齢層は男女ともに70~74歳であり、高齢の方が多いです。
飯田)高齢の方が多いということは、糖尿病や高血圧が原因ということですか?
大坪)はい。だんだん悪くなって行って、そのくらいの年齢に来たところで腎臓も悪くなってしまう傾向なのだと思います。
物言わぬ腎臓 ~定期的な健診・検診の大切さ
飯田)腎臓の機能が悪くなる場合、兆候などはあるのですか?
大坪)腎臓は「物言わぬ臓器」と言われており、よほど悪くならないと、症状として出て来ることは少ないです。
新行)定期健診などで、腎臓が正常に機能しているかどうかを調べることはできるのでしょうか?
大坪)私がおすすめしたいのは「誕生日検診」です。前後してもいいのですが、ご自分の誕生日の付近で検診を受けていただくと忘れないですよね。年に1回は検査を受けることになりますので、そのように自分の身体を管理していただく方法がいいかなと思います。
飯田)会社に勤めていらっしゃる方だと、自分の健保組合などで全額補助があったり、健康診断に関する費用の補助はいろいろとありますものね。
大坪)そうですね。区の健診・検診などは区がサポートしてくれる場合もあるので、そういう機会を使って検査を受けていただきたいと思います。
人工透析の費用はほとんどが公費負担
飯田)人工透析する場合の費用は、保険適用になるのですか?
大坪)はい。いまはほとんど公費負担ですので、自己負担は少なくて済みます。その辺りの心配は少ないと思います。
飯田)なるほど。まずは人工透析に至らないよう、その前にきちんと発見してケアをする。そのためにも健診・検診を定期的に受けることが大切ですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます