エンジニアリング会社が沖縄でトマトを栽培する理由

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プラントエンジニアリング分野を中心に、グローバルな舞台でプラント建設を手がけているエンジニアリング会社が沖縄でトマトを栽培している。

沖縄でのトマト栽培

沖縄でのトマト栽培

その会社の名前は、東洋エンジニアリング。業務内容からカタいイメージが強い会社が、なぜ沖縄でトマトを栽培しているのだろうか。

東洋エンジニアリング株式会社に勤務する宮田浩紀さんは経営企画部の所属でありながら、沖縄で周年トマト(年中できるトマト)の栽培事業に挑戦している。もともとエンジニアだった宮田さんは、かつて仲間3人とともに農業ベンチャーを起業し、トマトの栽培事業を始めた。技術力を頼りに意気込むが現実の厳しさに直面。ハウスが台風の被害を受けたこともあり、やむなく撤退という苦い経験をした。

沖縄でのトマト栽培

沖縄でのトマト栽培

それでも「失敗したままでは終われない」という思いを胸に、東洋エンジニアリングに入社。会社が推進する新規事業創出人財育成プログラム「WILL計画」に応募し、事業計画から経済性の検討、技術的な実現性など全て責任を持って事業を推進することで再びトマトの栽培に挑戦することになった。

東洋エンジニアリング株式会社の宮田浩紀さん

東洋エンジニアリング株式会社の宮田浩紀さん

沖縄は夏でも猛暑日が少なく、冬も暖かいという気候特性があり、周年栽培に適している。5月から12月は県内でのトマトの生産が少なく、県外からの持ち込みが主となっているといい、地元スーパーからも「安定的に品質の良い地元のトマトが欲しい」という声が寄せられていた。

こうした背景から、宮田さんは再び沖縄でトマトの栽培を挑戦することに。現在、糸満市で1年を通じて安定的にトマトを栽培・出荷するモデルの構築に取り組んでいて、今年5月から沖縄県内の一部スーパーで「ぽかぽかとまと」として販売が始まった。

沖縄でのトマト栽培

沖縄でのトマト栽培

宮田さんは再びトマトの栽培に挑戦できたことについて「WILL計画は一人で挑戦するものだが、社内にはそれぞれの分野のエキスパートがいて、様々な面で支えてもらっている」と述べ、「部署や役職を超えて協力してくれる仲間がいるからこそ、挑戦ができる」と話す。東洋エンジニアリング広報・IR部の布留川理音さんは「WILL計画から生まれる多様な挑戦を通じて、社会に新たな価値を届けたい」と語っている。

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