糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気『糖尿病黄斑浮腫』を解説 定期的な受診による早期発見が大切

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12月25日(木)、小沢眼科内科病院 医局長・木住野源一郎氏が、ニッポン放送のラジオ特別番組『第51回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』にゲスト出演。糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気の1つ『糖尿病黄斑浮腫(とうにょうびょうおうはんふしゅ)』について、症状や治療法などを解説した。

糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気『糖尿病黄斑浮腫』を解説 定期的な受診による早期発見が大切

『糖尿病黄斑浮腫』について解説する小沢眼科内科病院 医局長・木住野源一郎氏(写真右)

『糖尿病黄斑浮腫』とは、どのような病気なのか?

私たちの眼の奥には、「網膜」という薄い膜があります。よくカメラのフィルムに例えられますが、ここで視覚の情報を認識しています。

この網膜の中心部には、「黄斑」と呼ばれる、物の形や色、大きさなどを見分ける重要な部分があります。糖尿病によって黄斑が障害されると、物が霞んで見えたり、歪んで見えたり、視力の低下を引き起こしたりします。

糖尿病により高血糖の状態が続くと、血管が傷ついたり、詰まったりして、その血管につながる臓器が障害され、合併症を引き起こします。網膜にも多くの血管があり、眼の細胞に栄養や酸素を運んでいますが、高血糖が続くと、糖尿病の3大合併症の一つである『糖尿病網膜症』を発症します。

それに伴い、網膜の血管がもろくなったり、詰まったり、血管の外に血液成分が漏れ出したりして、出血した結果、黄斑にむくみが生じるのが『糖尿病黄斑浮腫』です。

どのような人がかかる病気なのか

最近の国内の調査では、糖尿病が強く疑われる方のうち、『糖尿病網膜症』は3人に1人、『糖尿病黄斑浮腫』は15人に1人が発症していると推計されています。¹ 『糖尿病網膜症』になると、初期でも末期でも、どの段階からも『糖尿病黄斑浮腫』を発症する可能性があると言われています。

糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気『糖尿病黄斑浮腫』を解説 定期的な受診による早期発見が大切

『糖尿病黄斑浮腫』はどのようにして治すのか

完治するのは難しい病気ですが、症状の進行を抑えて、視力を維持するための治療法があります。まず、基本となるのは、「血糖のコントロール」です。糖尿病のかかりつけの先生の指示に従って、きちんと糖尿病の治療を続けましょう。

その上でできる、『糖尿病黄斑浮腫』に対する眼の治療としては、病気の原因物質に「VEGF」というタンパク質があるのですが、その働きを抑える「抗VEGF薬」を眼の局所への注射する方法が中心となっています。

治療の前には痛みを和らげるために局所麻酔を行います。麻酔をしても、注射針が入る感覚や眼が押される感じは残るようです。

ほかにも、「レーザー光凝固術」というレーザー光を照射して異常な血管を凝固させる治療や、網膜の表面に膜が張って網膜が引っ張られて黄斑浮腫を起こしている場合には、硝子体と膜組織を切除する「硝子体手術」があります。数十年前はレーザー光を照射する方法しかありませんでしたが、近年は治療の選択肢が増えてきています。

『糖尿病網膜症』や『糖尿病黄斑浮腫』を自覚するために

『糖尿病黄斑浮腫』では、「眼がかすむ」「モノが歪んで見える」などの見え方の変化が表れます。見たいものが見えにくくなり、「人の顔が認識しにくい」「電車の路線図が見えない」「切符を改札機に入れられない」「見えないことを周囲に分かってもらえない」など、日常生活に様々な影響を及ぼします。

ただ、症状が出ていない側の眼が見え方を補うため自覚しにくく、症状が見過ごされてしまうことも多いです。また、『糖尿病黄斑浮腫』の前段階である『糖尿病網膜症』では、初期や中期には無症状の場合がほとんどで、注意が必要です。

糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気『糖尿病黄斑浮腫』を解説 定期的な受診による早期発見が大切

早期発見が大切

こうした病気による視力低下や進行を防ぐためには、早期発見が大切です。糖尿病の方には、症状がなくても、少なくとも半年か、年に一度は眼科で網膜の検査を受けていただきたいです。

視覚は、「人が五感から受け取る情報の8割以上を占める」 ²と言われていますし、眼の働きを維持することは重要です。『糖尿病黄斑浮腫』が進行して視覚を損なうことは、決して稀なことではありません。 『糖尿病網膜症』は、日本における中途視覚障がいの原因の第3位 ³に挙げられています。とにかく早期発見が大切です。

定期受診以外にできることは?

物が歪んで見える症状の簡単な自己チェックとして、「アムスラーチャート」と呼ばれる、碁盤のようなマス目のシートを使う方法があります。

眼鏡やコンタクトをしたまま片眼でシートを見たときに、マス目がぼやけたり、ゆがんで見えたり、見え方がおかしいと感じたりした場合には、眼科を受診してください。また、一度のチェックで異常がない場合も、定期的にチェックを行うことを推奨しています。

糖尿病で血糖値の高い状態が続いた場合に発症する病気『糖尿病黄斑浮腫』を解説 定期的な受診による早期発見が大切

インタビューを担当した東島衣里アナウンサーとの2ショット

 

¹岩瀬剛: Akita J Med 47: 1-10, 2020
² 教育機器編集委員会 編:産業教育機器システム便覧, 日科技連出版社, p4, 1972.
³Matoba R et al.: Jpn J Ophthalmol 67: 346 352, 2023

低下した視力を元に戻すことは難しいです。見え方がおかしいと感じたら、すぐに眼科を受診してください。

また、糖尿病の方は、特に自覚症状がなくても定期的に眼科を受診して、網膜の検査を受けることをおすすめします。

病気が進行する前に早期診断・早期治療を行い、手遅れになる前に視力を維持していきましょう。

(小沢眼科内科病院・医局長・木住野源一郎)

記事監修:中外製薬株式会社

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