12月25日(月)、高崎佐藤眼科 院長・佐藤拓氏が、ニッポン放送のラジオ特別番組「第49回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」にゲスト出演。加齢によって眼が見えにくくなる病気『加齢黄斑(おうはん)変性』について、その症状や、受診が必要か否かを知る自己チェックの方法、治療法などを解説し、早期診断・早期治療の大切さを伝えた。
『加齢黄斑変性』とは、どのような病気なのか?
加齢によって目が見えにくくなる病気です。私たちの目の奥には『網膜』という薄い膜があり、カメラのフィルムによく例えられますが、人はここで視覚の情報を認識しています。この網膜の中心部には『黄斑』と呼ばれる、物の形・色・大きさなどを見分けるための、特に視力に重要な部分があります。この黄斑が加齢によって障害されることで、「物がゆがんで見える」「中心が黒く見える」などの視力低下をきたします。
高齢化に伴って患者さんの数が増加していて、最近の調査では、50歳以上の約80人に1人が発症し、男性では女性よりも4倍以上、有病率が高いと言われています。なお、この病気は、日本における視力障害の原因の第4位に挙げられています。
日本で患者が多い「滲出型」その原因は?
人は年齢を重ねると黄斑に老廃物が溜まり、組織や血管がダメージを受けます。ダメージを受けた黄斑では、新たに栄養を届けようとする『新生血管』と呼ばれる新しい血管に、異常な血管が発生します。この新生血管はもろくて血液や血液成分が漏れやすい性質があるため、黄斑にむくみや出血が生じます。その結果、視野にゆがみや欠けが見られ、物が見えにくくなります。
老眼とは違い、網膜の中心にある黄斑に異常が生じる病気であり、老眼鏡を使っても視力を矯正することは難しいのが現状です。また、高齢ということ以外では、「喫煙」「肥満」「心臓病」「高血圧」「高コレステロール」などが、『加齢黄斑変性』になりやすい要因として知られています。
日常生活に及ぼす影響
病気が進行すると、眼鏡でも矯正できないほどの視力低下が起こり、「人の顔が認識しにくい」「電車の路線図が見えない」「切符を改札機に入れられない」「見えないことを周囲に分かってもらえない」などいろいろな影響を及ぼします。
どのように治療するのか?
異常が起こった網膜を再生させ、低下した視力を元に戻すことは難しいといわれていますが、治療により症状の進行を抑えられることがあります。
加齢黄斑変性の治療は、『抗VEGF薬』という目への薬剤注射が中心となっており、そのほかにも、光線力学的療法などがあります。どの方法でも局所麻酔をしてから治療をおこなうので、痛みはあまり感じないと言われています。近年は様々な新薬が登場し、患者さんの選択肢が増えています。
早期診断・早期治療のための自己チェック方法
『加齢黄斑変性』は、早期診断・早期治療が重要です。簡単な自己チェックとして、碁盤のようなマス目のシートを片眼で見る方法があります。眼鏡やコンタクトをしたままでシートの線を見て、「ぼやけて見る」「ゆがんで見える」「部分的に欠けて見える」など、見え方がおかしいと感じる場合は眼科を受診しましょう。
禁煙やバランスのとれた食生活など生活習慣の見直しが重要であるほか、場合によっては、抗酸化成分を含むサプリメントの摂取などによる健康維持も大切です。
(高崎佐藤眼科 院長・佐藤拓)
記事監修:中外製薬株式会社
番組情報
ラジオ・チャリティ・ミュージックソン
番組HPニッポン放送「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」は、“目の不自由な方へ音の出る信号機”を贈るためのチャリティキャンペーンで、毎年11/1~翌年1/31に展開しています。