形はバラバラ、でも異常にうまい。農家が守り続ける「古来種野菜」とは

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古来種野菜の流通・販売を手掛ける「warmerwarmer」代表・高橋一也さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。『古来種野菜を食べてください。』(晶文社)、『日本のうつくしい野菜』(オレンジページ)の著者でもある高橋さんに、日本各地に残る「古来種野菜」の魅力について聞いた。

形はバラバラ、でも異常にうまい。農家が守り続ける「古来種野菜」とは

 

農家が代々つないできた「古来種野菜」

上柳:まず、「古来種野菜」とはどういうものなんですか?

高橋さん:「古来種野菜」という名前は、実は私が付けた名前なんです。野菜には大きく分けて、2種類の種があるんです。

ひとつは、種屋さんが時代のニーズに合わせて、ある目的を持ってデザインした野菜。一般的に「F1種」と呼ばれているものです。今、スーパーに並んでいる野菜の多くがそうですね。戦後の食料難や高度経済成長期、「どうやって安定して野菜を届けるか」を種屋さんや農家さんが工夫してきました。

一方、「古来種」は、何百年、何千年と、農家さんが自分たちで種を採り、代々受け継いできた野菜です。「古くから来ている種」という意味で、「古来種」と呼んでいます。

上柳:「古来種野菜」は、各地の農家さんが土地に根付いた野菜を育て、食べるものは食べ、種を採るものは残してきた。

一方で「F1種」は1代限りの野菜で、種屋さんが農家の方に種をお売りし、そこから育てて収穫する。けれど、そこから種は採らない。考えてみると、不思議ですよね。

高橋さん:今は商業ベースで考えるので、農家さんは毎年、種を買うんです。

上柳:日本には、どれくらい種類があるんですか?

高橋さん:1982年頃にまとめられた『日本野菜大全』という本には、1200種類載っています。ただ、実際には登録されていないものもあるので、2000種類以上あるとも言われています。でも、正直、現在どれくらい存在しているかは、誰も把握できていません。

上柳:地方の農家さんが、自分の家だけで育てているものもあるわけですよね。

高橋さん:そうなんです。私もまだ知らない野菜がいっぱいあります。名前が付いていない野菜も含めて、本当にたくさんあるんです。例えば大根だけでも、現在152種類あります。

上柳:写真を見ましたけど、形が本当にバラバラでした。「これが大根なの?」っていうものもありましたね。

高橋さん:野菜って、その土地の環境に適応していくんです。例えば、東北の大根は辛くて、水分が少ない。逆に南の桜島大根は、みずみずしい。

上柳:東北は雪が降るのに、なんで水分が少ないんですか?

高橋さん:水分が多いと凍ってしまうからです。野菜自身が、自分を守るために水分を減らしているんですよ。人間が手を加えなくても、野菜はその土地の環境に適応して生き残ってきたんです。

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「旬は一瞬」古来種野菜の魅力

高橋さん:古来種野菜って、本当に“旬の時期”しか食べられないんですよ。短いものだと、旬が2週間しかない。もっと短ければ本当に、一瞬で終わってしまうものもあります。

上柳:それだと、なかなか流通には乗りにくいですよね。

高橋さん:そうですね。でも、本来の春夏秋冬、その季節ごとの味をいただく。古来種野菜には、そういう感覚が残っています。

上柳:正直、野菜って一年中食べられるものだと思っていました。

高橋さん:今日は、山形県の「オカヒジキ」を持ってきました。ちょうど先週くらいから出始めました。ヒジキみたいに細長い形をしているので、「オカヒジキ」と呼ばれています。

上柳:青々としていますね。オカヒジキはどうやって食べるんですか?

高橋さん:地元では、生姜醤油をかけて食べます。

上柳:いただきます。(実食して――)……“サクッサクッ”としますね。なんていい歯ごたえ!

高橋さん:歯ごたえ、いいですよね。この食感は、山形の伝統野菜のオカヒジキならではなんです。

上柳:力強くて、噛むとサクサクする。この食感、たまらないですね。

高橋さん:今はいろんなところでオカヒジキがありますけど、この山形のものが原点なんですよ。もともとは、お刺身のツマとして使われていたみたいです。

上柳:言われてみると、確かにぴったりですね。

高橋さん:そうなんです。でも今は、価格や大量生産のしやすさもあって、大根のツマが主流になりました。

歯ごたえ、味、香り。どれひとつ取っても個性がある。それが古来種野菜の面白さなんですよ。こういう野菜を、ちゃんと子どもたちにも残していきたいと思っています。

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「細胞が喜ぶ味」平家大根を実食

上柳:今回はさらに、平家大根も持ってきていただきました。平家大根は800年も前から受け継がれてきた大根だそうですね。

高橋さん:平家大根を初めて食べた時、本当に感動して。食べた瞬間、体の奥から力が湧いてきたんです。体の細胞が喜んでいるんだと思うんです。

上柳:私も先ほど食べさせていただいたのですが、ほろ苦さがあって、力強くて。目が覚めるというか、「頑張るぞ」っていう感じになるんですよね。

高橋さん:そうなんです。

上柳:平家大根は、今、生産している方はどれくらいいるんですか?

高橋さん:本当に数名です。

上柳:数名ですか……。しかも今日持ってきていただいたもの、大根って言われないと分からないですよね。

高橋さん:そうなんですよ。しかも、これはあくまで今回の形。本当にいろんな形があり、人間と同じで野菜にもそれぞれ個性があるんです。

上柳:これを流通させるとなると、かなり難しそうですね。

高橋さん:大量流通にはまず向きません。

上柳:見た目からして、平家大根の収穫は、青首大根と違って抜くのも大変そうですね。

高橋さん:大変です。畑で「抜いてみて」って言われた時、まず腰を落として、上下左右に揺らしながら抜くんです。なかなか抜けません。

一方、今の青首大根は片手でスッと抜けます。農家さんの負担が少ないように改良されたんです。抜きやすいし、箱にも詰めやすい。流通しやすいように、ちゃんと進化してきたんです。

上柳:だから高橋さんは、今の野菜を否定しているわけじゃないんですよね。どちらにも役割がある。共存していけたらいい、という考え方が素敵だなと思いました。

形はバラバラ、でも異常にうまい。農家が守り続ける「古来種野菜」とは

古来種野菜はどこで買える?

上柳:ただ、こういう古来種野菜って、スーパーに並べるのは大変そうですね。

高橋さん:そうですね。まず、食べ方が分からないという方が多い。初めて見る形だし、「どう食べるんだろう?」ってなりますよね。

上柳:古来種野菜に興味を持ったけれど、近所では手に入らない方が多いかもしれません。高橋さんが手掛けている「warmerwarmer」という公式サイトでは、毎月、旬の野菜を10〜12種類ほど届けてもらえます。

さらに、伊勢丹新宿店の野菜売り場でも扱っているんですよね。

高橋さん:2013年9月から、ずっとコーナーを作っていただいています。

上柳:古来種野菜は旬が短いので、行くたびに違う野菜がありそうですね。

高橋さん:その時の一瞬しか出会えないものがたくさんあります。

上柳:私もぜひ足を運んでみたいと思います。

――スーパーではなかなか見かけない古来種野菜。形も味も不揃いで、旬も短い。しかし、その土地で何百年も受け継がれてきた野菜には、今の野菜とは違う生命力や力強さがある。もし見かける機会があれば、ぜひ一度、その“生きた味”を体験してみてはいかがだろうか。

形はバラバラ、でも異常にうまい。農家が守り続ける「古来種野菜」とは

高橋一也さんと上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHP(https://www.1242.com/genki/index.html)から、いつでも聞くことが可能だ。

 

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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