全世代で「食べているのに栄養不足」の可能性 量より大事な食事の“質”とは

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料理研究家・管理栄養士の関口絢子さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。『食が細くなってきたら 小食でもちゃんと栄養がとれる食べ方』(アスコム)の著者である関口さんに、現代の落とし穴である「低栄養」の正体と、効率よく栄養を摂取するコツを聞いた。

全世代で「食べているのに栄養不足」の可能性  量より大事な食事の“質”とは

上柳:年齢を重ねて「食が細くなった」「食欲がわかない」と感じる方や、ダイエットで食事を控えている方も多いと思います。私も若い頃のようにバクバク食べる時期は過ぎまして、ともすれば「あまり食べずにお酒を飲んでしまう」なんてこともあります。

最新刊のキーワードにもなっている「低栄養」とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。

関口さん:文字通り、栄養が足りていない状態のことです。実は「食べている」つもりでも、食生活を詳しく見ると必要な栄養が取れていないケースが多々あります。

例えば、同じものばかり食べる癖があったり、作り置きの同じ野菜料理を毎食出していたり。品数が多く見えても、実は栄養が偏っていることがあるんです。

上柳:「お腹がいっぱいになればいい」と思っていても、実は低栄養の可能性があると。これは高齢の方に限った話ですか?

関口さん:実は年代は関係ありません。若い方でもシニア層でも、食べる「量」ではなく「質」の問題だからです。

上柳:厚生労働省のデータ(令和5年)によると、65歳以上の低栄養傾向の割合は男性12.2%、女性22.4%。85歳以上になると男女ともに2割を超えていますね。低栄養の状態はどんな問題があるのですか?

関口さん:低栄養で一番大きな問題は「タンパク質不足」です。タンパク質は筋肉や細胞を作る材料ですので、不足すると筋力が落ちます。これが進むと、介護の手前の状態である「フレイル(虚弱)」や、筋肉量が減少する「サルコペニア」を引き起こしやすくなります。

また、免疫力の維持にもタンパク質は不可欠ですので、さまざまな目に見える弊害が起きてきます。

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自身の体調不良から気づいた「食」の大切さ

上柳:そもそも、関口さんが食や栄養の道に深く関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。

関口さん:元々、栄養学科の出身で食への興味はありましたが、特に「栄養」を意識するようになったのは30代の頃の体調不良がきっかけです。当時は仕事と家庭の両立でストレスを抱えていて、働く女性のための「ストレス外来」を受診したんです。でも、そこで処方されたのは睡眠導入剤や抗うつ剤だけで……。

精神的にも不安定になり、やる気が出なかったり、逆に変なものを過食してしまったりと悪循環に陥っていました。「これではまずい」と思った時、自分の生業である「食」で自分自身を養ってみようと考えたのが始まりでした。

上柳:具体的にはどのようなことから始められたのですか?

関口さん:ある時、大豆やお豆腐など体に良いものばかりを出す温泉旅館に泊まったんです。その食事をいただいた時、心にまで栄養が染み渡っていくような感覚がありました。質の高い栄養がしっかり入ってくると、変な過食欲求も消えたんです。「人間は栄養で心も体も作られるんだ」と実感した瞬間でした。そこから、いかに「栄養の濃い食べ物」をチョイスするかという考えに行き着きました。

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小食でも、栄養の濃いものを食べれば良い

上柳:最近よく聞くようになった「小食」ですが、どの程度の状態を指すのでしょうか。

関口さん:目安としては、一般的な一人前の食事を出されても半分も食べられない、あるいは必ず残してしまうような状態ですね。

上柳:「昔はもっと食べられたのに」と罪悪感を抱く方もいらっしゃると思います。食べられなくなった時、どう考えればいいのでしょうか。

関口さん:たくさん食べるにはそれなりの活動量も必要ですから、無理に量を詰め込む必要はありません。それよりも「栄養の濃いもの」をうまく選んで、少ない量で効率よく栄養を摂取する工夫をする方が現実的です。

「栄養の濃いもの」とは、例えば野菜で比較すると、水分が多い大根を100グラム食べるよりも、ビタミンやカルシウムがぎゅっと詰まったブロッコリーのような緑黄色野菜を選ぶイメージです。大根が悪いわけではありませんが、同じ量ならブロッコリーの方が栄養価が高いです。

上柳:ブロッコリーといえば、まさに色の濃い野菜ですね。

関口さん:魚介類なら、ミネラルの宝庫である「牡蠣」もおすすめです。まさに海のミルクですね。あとは、準完全栄養食品と言われる「卵」もパーフェクトな食材です。

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朝のタンパク質摂取

上柳:朝、手軽にタンパク質をとるにはどうすれば良いでしょうか?

関口さん:実は意外と簡単です。ご飯派なら、納豆1パックとお味噌汁、卵1つ食べるだけで、トータル約20グラムのタンパク質が摂れます。

パン派の方なら、トーストに目玉焼き、ソーセージ、そして牛乳やヨーグルトを添えれば十分クリアできます。パンにもたんぱく質は含まれていますからね。

上柳:朝は忙しくてついコーヒーだけで済ませてしまいがちですが、やはり何か食べたほうが良いのでしょうか。

関口さん:はい。食べ物を入れて消化活動を始めることは、内臓を目覚めさせ、体内時計を整えるためにとても重要です。自律神経にも良い影響を与えます。

上柳:なるほど、朝食は体を起こすための「スイッチ」なんですね。起きてから1時間以内に食べたほうが良いというのも、そのスイッチを入れるためですか?

関口さん:その通りです。朝食を抜くと自律神経が乱れやすくなる原因にもなります。

意外な組み合わせで栄養アップ

関口さん:朝食の納豆にツナ缶を混ぜただけの「ツナ納豆」を食べるとか、それだけで栄養をいろいろととれます。

上柳:ツナ納豆おいしそうですね。

関口さん:意外と合うんですよ。他にも、シラスなどを加えると栄養価が高まります。

上柳:お味噌汁に納豆を入れるのも美味しいですよね。和食の良さを改めて感じます。1日に必要なタンパク質量はどれくらいと考えれば良いでしょうか?

関口さん:目安は「自分の体重(kg)と同じ数値(g)」です。体重60キロの方なら1日60グラム。1食あたり約20グラムを目指しましょう。

上柳:1食分の20グラムというと、具体的にはどれくらいの量ですか?

関口さん:お肉の場合、手のひら1枚分で約20グラムのタンパク質がとれますので、覚えておくと便利です。

上柳:自分の体重に合わせて、1日3回しっかりとることが大事ですね。

――たくさん食べられないことにプレッシャーを感じる必要はなく、大切なのは、無理に量を詰め込むことではなく、体が喜ぶ「栄養の濃いもの」を選ぶこと。いつもの献立に卵を1つ足す、色の濃い野菜を意識して買う。そうした小さな工夫で、低栄養を防ぐことができ、体はきちんと整っていくはずだ。

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関口絢子さんと上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHP(https://www.1242.com/genki/index.html)から、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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