「狭心症かな」と思ったら、まず牛乳を一口飲んでみる
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東京都医師会広報委員で「新田町ビル診療所」院長の坪田淳氏が6月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。狭心症について解説した。
「狭心症」の定義
飯田浩司アナウンサー)今回は、心臓の疾患である狭心症について伺います。狭心症と心筋梗塞はよく聞くのですけれども、違いが何かと言われると、わかりません。どういう定義の違いがあるのですか?
坪田)心臓の筋肉も当然、栄養や酸素が必要なわけです。それを送るための血管が大きく分けて3本あるのですけれども、それが動脈硬化で狭くなり、供給量が減ってしまう状態を「狭心症」と呼びます。
動脈硬化で心臓に栄養や酸素を送る血管が細くなり、狭心症の症状が出る
飯田)まず狭心症について伺いますが、心臓に対して栄養や酸素を送る血管が細くなっていくということですか?
坪田)そうですね。動脈硬化を起こした結果、血管が細くなってしまうと、本来なら流せる量の血液を流すことができず、酸素が足りなくなっていきます。心臓は走ったあとはドキドキしますし、会議などでもドキドキします。そういうときは心臓がたくさん動いているので、たくさん酸素や栄養が必要になるのです。それを「送ってあげたいのだけれども、送れない」という状態が出てくると、心臓としては苦しいので、「痛い」という狭心症の症状が出るのです。
「焼け火箸で刺されたような感じ」「象が乗っているような痛み」という通常ではあり得ないような痛みを感じる狭心症
新行市佳アナウンサー)具体的には、どのような症状になるのですか?
坪田)通常だと胸が痛くなります。心臓の辺りを指して「ここが痛いから心配だ」というのは、多くの場合、心臓ではないことが多いです。
飯田)そうなのですか。
坪田)全体的に胸が圧迫されるような感じとか、「焼け火箸で刺されたような感じ」とか、「鉄板を落とされた」とか、「象が乗っている」というような、どれも自分で経験したことはないはずなのですけれども、そういう表現をされた方がいます。
飯田)すごく重いというイメージですか?
坪田)そうですね。通常ではあり得ないような症状です。「ちょっとチクチクする」などという症状ではありません。
飯田)その痛みを感じたら、異変があることがわかるくらいのものですか?
坪田)そうです。
「狭心症かな」と思ったら救急車を呼んで病院に行ってもよい
飯田)病院へ自分で歩いて行けないくらいですか?
坪田)歩いて来院される人もなかにはいらっしゃいます。症状が治まってしまえば、元通りになりますので、普通に来られるのですけれども、そのときは救急車を呼んでも構わないと思います。ただ、症状を聞いても、胃酸が逆流するときに起こる胸やけとの区別がつかないこともあります。しかし、区別がつかないだけなので、この場合は救急車を呼んでも構わないと思います。
牛乳を一口飲んで「スッ」と楽になれば、まず狭心症ではない
飯田)胸やけと言うと、「逆流性食道炎」の場合もあります。私も若干その症状があるので、寝ていて胃酸が上がってきて「ウワッ」ということがあるのです。
坪田)牛乳が飲める方でしたら、一口牛乳を飲んでもらって、「スッ」と楽になる場合は、まず狭心症ではないと思います。お水でもいいのですけれども、お水だと胃酸を中和するのに時間がかかってしまうのです。たくさん飲むとその場では楽になるのですが、またすぐ同じことを繰り返すので、一口牛乳を飲んだくらいがいいのではないかと思います。それで「スッ」と楽になってしまえば、あまり狭心症の疑いを考えなくてもいいかも知れません。ただ、その場合でも、主治医がいらっしゃるのでしたら、必ずそれを主治医にお話しください。「こういうことがあった」という話です。
飯田)胸やけで痛かったという。
坪田)そうです。ただ、明らかにリスクがある人の場合、「絶対に狭心症ではない」とは言えません。
飯田)なるほど。この話を聞いたからと言って、自己診断してしまってはいけないということですね。逆に言えば、狭心症の人だと牛乳を飲んでも変わらないということですか?
坪田)変わらないですね。治らないと思います。牛乳を飲んだくらいでどうにかなることはないし、もしかしたらそんなものは飲めないと言われてしまうかも知れません。
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