作家・スポーツライターの小林信也氏が8月8日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。資金提供疑惑の東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事について、「気をつけろと言われていた人物」と明かした。
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自宅を出るために車に乗り込む東京五輪パラ組織委・高橋治之元理事=2022年7月27日午前、東京都世田谷区 写真提供:産経新聞社
東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事の会社が大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側から資金提供を受けていたとされる問題が波紋を広げている。こうした問題の起きる背景には、五輪をめぐる莫大な金の存在が指摘されているが、世紀の祭典を舞台にした利権構造とは、いったいどんなものなのか。
辛坊)私のような五輪やスポーツ界とはほとんど関係のない立場からの目線だと、「高橋元理事に限らず、皆、同じようなことをやっているんじゃないの?」と思ってしまうんですが、いかがですか。
小林)そう考える人がいることは理解できます。ただ、高橋元理事のような人は今や数少ないんですよ。なぜなら、スポーツビジネス界が変わってきているので、高橋元理事のようなことはできなくなってきています。「組織委員会も真っ黒なんじゃないか」というのは、ちょっと違います。
組織委員会には大手広告代理店「電通」から多くの人が出向していました。私の取材では、電通からの出向者の間では「高橋さんには気をつけろ」とささやかれていたんです。「高橋さんが妙なことを企んだら、絶対に乗っかるな」と、かなり釘を刺されていたと聞きました。
辛坊)組織委員会ぐるみで似たようなことをやっていたんじゃなくて、高橋元理事が組織委員会の中で特異な人だと認識されていたということですか。
小林)そうです。しかし、高橋元理事はスポーツビジネス界を知り尽くしているし、人脈もありますから、「今の時代、それはさすがにできない」という風潮の中でも、うまく立ち回ってお金を引っ張れたということです。