「意見を聞く」前に「リーダーシップ」を ~日本の景気の今後は岸田総理が「思い切った財政出動」をできるか否かにかかっている

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ジャーナリストの須田慎一郎が9月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。今後の日本の景気について解説した。

2022年8月31日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202208/31kaiken.html)

アメリカの8月雇用統計

米労働省は9月2日、8月の雇用統計を発表し、景気動向を反映しやすい非農業部門の就業者数が、前の月と比べて31万5000人増加したと発表した。一方、失業率は前の月より0.2ポイント悪化し、3.7%となった。市場の予想では30万人程度の増加を見込んでいたが、やや上回る統計となった。

雇用統計が景気に影響するアメリカ ~金利を上げたことがどの程度雇用にマイナスの影響を与えるか

新行)須田さんは8月にアメリカへ出張されて、現地の様子や雰囲気を感じられたと思うのですが、いかがでしたか?

須田)アメリカの場合は景気の指標を見る際、雇用にいちばん注目するのです。ですから、雇用統計がどう出るかによって株価に大きく影響します。雇用統計が市場予想を上回ると、株価がどんと上がるというような、景気がよくなっていくことを予想するのです。

新行)雇用統計が影響する。

須田)雇用が堅調であることを受け、景気がいいのだなということは肌感覚でもわかりました。そういったなかで、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めに動くのは、せっかく景気がいい方向へ動いているところに、冷や水をかけることになるのではないか。金利を上げたことによって、どの程度雇用にマイナスの影響を与えるのかが注目ポイントになってくるのだと思います。

日本の景気をよくするために、低金利の状況をベースに財政出動することが求められる

新行)これを受けて、日本にどう影響するかも気になるところですよね。

須田)日米の株価は連動している、景気に大きな影響を与えるなどと言いますが、日本の場合はまだ景気が十二分に回復していないので、アメリカと同列に見ることはできません。

新行)日本の場合は。

須田)日本の場合は、アメリカが金利上昇に動き、日米金利差の拡大によって円安が進行し、景気が悪くなるのではないかと言われています。日本も金利を上げるべきだという議論も出てきますが、そもそもの景気がよくないのですから、まずは景気をよくすることを考えないといけない。

新行)景気をよくすることを。

須田)利上げはそのあとでしょう、ということです。では景気をよくするためにどうしたらいいのかと言うと、いまの低金利の状況をベースに財政出動することです。要するにゼロ金利政策、低金利政策、金融緩和策だけでは景気を回復できないということが、「金融緩和策・一本足打法」を8年近く続けた上での反省なのです。

思い切った財政出動が必要 ~30兆円を超える大型補正予算を組めるかどうかがポイント

須田)思い切った財政出動が必要です。秋の臨時国会が10月に開かれる予定ですが、どの程度の大型補正予算が組まれるのか。岸田総理も大型の補正予算を組むと言っていますが、振り幅が大事です。20兆円でも大型と言えなくもないのですが、それだけではまったく不十分で、「30兆円超えを目指せるのかどうか」だと思います。

「緊縮財政派」と「積極財政派」のバトルはどちらに軍配が上がるのか ~安倍元総理の死が積極財政派にどのようなマイナスの影響を及ぼすのか

新行)岸田総理はウクライナ危機や円安の影響で加速している物価高対応について、9日に「物価・賃金・生活総合対策本部」を開き、追加策を取りまとめるという考えを示しました。

須田)その額は追加で1兆円くらいなのです。先ほど言った「30兆円規模」という額と比べると、焼け石に水どころか、焼け石に水が付く前に瞬間蒸発するような金額です。「小手先」という言葉がこれほど似合う政策はないでしょうね。次の臨時国会で大型補正予算が組まれるかどうかというところが、注目ポイントだと思います。

新行)その辺りの綱引きはどのようにご覧になっていますか?

須田)先の国会では、自民党内で「財政再建派」という名のもとの「緊縮財政派」と「積極財政派」がバトルを繰り広げた。このバトルは、秋以降の持ち越しになってしまったのです。その綱引きの結果がどう出るのか、どちらに軍配が上がるのか。

新行)その綱引きの結果が。

須田)ただ、積極財政派の最大の拠り所は安倍元首相だったのです。安倍さんが亡くなられたことが、どのようなマイナスの影響を及ぼすのか、そこをしっかり見ていきたいと思います。

岸田総理が思い切った財政出動を打てるかどうか ~日本の景気は岸田総理がリーダーシップを発揮できるかどうかに掛かっている

新行)岸田総理はいかがですか?

須田)そこが曖昧なのです。「意見を聞いて」と言っていますが、意見を聞く前にリーダーシップを発揮することが大事だと思います。いまの金融緩和策だけでは景気回復が難しいのであれば、思い切った財政出動をするという方向性を打ち出すべきなのに、後ろから財務省に羽交い絞めにされているという状況が見え隠れしています。それを振りほどくだけの政治的な覚悟があるのかどうか。

新行)岸田総理に。

須田)せっかく「黄金の3年間」という期間をもらったわけですから、岸田総理が政治のリーダーシップを発揮できるかというところに、「日本の景気が回復できるかどうか」が掛かっているのです。この秋が勝負です。秋に注目してください。

新行)国葬のあと、本格的に議論されるということなのでしょうか?

須田)そうですね。来年度予算編成と合わせて、その辺りの綱引きが今後、激化するでしょうね。

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