安倍元総理の国葬 問題になっている「2つのポイント」
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ジャーナリストの須田慎一郎が9月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK!Cozy up!」に出演。安倍元総理の国葬について解説した。
安倍元総理の国葬について
新行)安倍元総理の国葬について、岸田総理が閉会中審査で国葬の意義を説明するということを発信しました。
問題になっている2つのポイント
須田)問題になっているポイントは2点あると思います。1つは、国葬という儀式の定義、法的な規定がないため、そこが問題になっている。それを内閣総理大臣の裁量で行えるのかどうか、閣議決定できるのかどうかということが議論になっているのです。
新行)定義、法的な規定がないので、閣議決定でできるのかどうか。
須田)2点目としては、その経費が、予備費という名目で支出されることが適切なのかどうか。また、予備費で支出されるにあたり、閣議決定するだけでいいのかどうか、という問題が出てきているわけです。
内閣府設置法に基づいて内閣が主催する儀式として行うのであれば閣議決定で問題ない ~丁寧な手続きとしては国会による議決で決めるべきだった
須田)前者については、「法律の番人」と言われている内閣法制局の見解では、「内閣府設置法」という法律に基づき、内閣が主催する儀式、国事行為として行うのであれば、閣議決定で法的には問題ないとされているわけです。
新行)国事行為として開催するのであれば。
須田)ただ、丁寧に手続きを踏んでいくとするならば、内閣が勝手に決めるというよりも、国権の最高機関である国会による議決で決めた方が丁寧だったし、誰からも文句は出なかったのではないかと思います。
新行)国会の議決で決めたならば。
須田)なおかつ、国会で議決を取っても、与党が過半数を占めているわけですから、そこは何ら問題もない。もう少し踏み込むのならば、先の臨時国会のなかで、1週間程度でいいと思いますが、もう少し期間を長く取り、国葬についても法規定を明確にしておけば、より丁寧だったと思います。
新行)法規定を。
須田)国葬を行うことによって、反対論が出てくることがあらかじめ予見できていたならば、そういった手続きをしておく必要があったのではないでしょうか。
新行)反対意見が出ることがわかっていれば。
須田)私は、安倍さんということを含めて、そこまで慎重になる必要はないと思います。いまのままでも問題はないと思います。ただ、静かな環境で行うとするならば、そのくらいの配慮は必要だったのではないでしょうか。国会を開いて進めるべきだったと思います。
予備費で支出することも問題はない ~その支出についても国会で決議を取っていればより丁寧であった
須田)2点目として、予備費が適切なのかどうか。予備費は予算編成、予算を審議するにあたって次年度予算で予見できないこと、自然災害などがそれにあたります。それについても合意のもと、予備費という項目で、正確に言えば「細目」で計上しておくものなのです。今回のような葬儀なども、あらかじめ予想できないものですから、予備費で支出することは何ら問題ない。閣議決定によって支出が決定されることになっていますので、法的な瑕疵(かし)に間違いはないのです。
新行)予備費で支出することに問題はない。
須田)ですから、国葬については問題ないと思いますが、あとから異論が出ることが予想されたならば、合わせて臨時国会で予備費の支出についても決議を取っていれば、より丁寧だったと思います。
新行)国会で決議を取っていれば、より丁寧であった。
須田)ですから、完璧にするべきなのか、従来のやり方をそのまま進めていくのかという程度の違いでしかないのです。国葬を行うこと自体は何ら問題ないですし、予備費を支出することも問題ないと思います。
「安倍元総理が国葬に値するのかどうか」 ~「参加した方が得か、参加しない方が得か」の損得で動こうとするいくつかの党
新行)野党の反応になりますが、立憲民主党や日本維新の会は、安倍元総理の国葬に関して、出席するかどうかの態度表明を先送りにしています。国民民主党は出席、共産党は欠席する意向を示しているということです。
須田)押し付けるものではないと言われていますから、出席・欠席についてはそれぞれの党が、各々で判断すればいいのではないかと思います。
新行)立憲民主党の泉代表が記者会見で、「国会に対する説明を見極めながら最終的に判断したい」と表明しています。「悼む気持ちは当然あるし、これまでも内閣葬であれば出席してきた」と、出席の余地も残すようなことを話しているそうです。
須田)手続き上の瑕疵がないのですから、その辺りをどう受け止めるのか。残る点があるとすれば、「安倍元総理が、国葬に値するのかどうか」という隠れたテーマに問題点があるのです。
新行)国葬に値するかどうか。
須田)共産党は、そこを強く意識していると思いますし、立憲民主党もその辺りで世論を見極めようとしているのだと思います。つまり、「参加した方が得なのか、参加しない方が得なのか」という損得で動こうとしているのではないでしょうか。
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