習近平総書記の続投確実も、日中の対話と交流は続けていくべき 

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の日中関係について解説した。

習近平総書記の続投確実も、日中の対話と交流は続けていくべき 

日中国交正常化50周年記念レセプション 福田元首相、河野洋平元衆院議長らが乾杯=2022年9月29日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

中国の習近平総書記の続投、無投票で決定か

10月16日に開幕する第20回中国共産党大会で確実視される習近平総書記(国家主席)の続投について、前回5年前の党大会に続き、事前の信任投票なしに決める可能性が高まったと一部メディアが報じている。中国共産党内では、異例の3期目入りの正当性を示すため投票を行うかどうか、議論もあった模様。

飯田)9月29日は日中国交正常化50年の節目でした。

国交正常化30周年にはGLAYが北京公演を実施

宮家)20年前の国交正常化30周年のとき、私は北京にいました。広報文化を担当していたのですが、あのころは楽しかったですよ。

飯田)そうですか。

宮家)2002年10月には、GLAYが北京で公演を行ったのです。浜崎あゆみさんやGACKTさんなども来ました。すごい熱狂でしたし、中国の若い人たちが喜んでくれて、とてもいい時期でした。

飯田)なるほど。

宮家)しかし、20年前のその時期ですら……瀋陽(旧・奉天)という町に日本の総領事館があるのですが、そこに北朝鮮の脱北者が子どもを連れてなかに入ったのです。彼らを中国側が連れ出してしまって、大騒ぎになったことがあるではないですか。

飯田)2002年。

周年ごとに厳しくなってきている日中関係

宮家)10年前の2012年には、「国有化」の尖閣事件があった。レセプションや記念式典が予定されていたのですが、あれで無期限に「当面延期」となりました。

飯田)そうですね。

宮家)幸い2022年はそういう事件はなかったかも知れないけれど、ペロシさんの台湾訪問があって緊張しましたよね。2002年からの10年ごとの節目を見ると、対中関係はだんだん難しくなってきている気がします。

日中の文化交流はつなぎ止めなければいけない ~ソフトパワー外交

宮家)しかし、それでも北京の日本大使館や日中の関係者は、若い人たちに日中関係の重要性を考えてもらいたいと頑張っているのです。

飯田)日中関係の重要性を考えてもらいたいと。

宮家)日本のバンドは行きませんし、歌手も行きませんけれども、ネットの世界でアニメと日本の平原綾香さんという素晴らしい歌手がコラボして中国語の歌を歌い、中国の若い人たちにアピールするプロジェクトを含め、北京ではいろいろな行事が行われているようです。20年経って、状況は変わったかも知れませんが、日中交流というこの火を消してはいけないと思います。

飯田)安保環境は厳しいけれども、ある意味でのソフトパワー外交のようなものですか?

宮家)確かに政治的に反日、もしくは嫌日の人たちもいるとは思いますが、一般の中国国民はそれほど日本に対して嫌悪感を持っているわけではないのです。その部分は絶対につなぎとめなければいけないと、30周年の経験者としては思いました。

飯田)ニュートラルなところにいる人たちを、あえて向こう側に押しやる必要はないということですよね。

宮家)向こうの政府は簡単に押しやることができるのだけれども、我々の手が届かなくなってしまってはいけないのです。常に我々も情報を発信しなければいけないと思います。その意味では、ネットを使った新しい試みが行われていることを嬉しくいいます。

日中の対話と交流は続けていくべき

飯田)一方で中国という国は、命令一下で反日デモのようなことが起こってしまうのではないかという懸念もあります。

宮家)海岸の砂の城のようなもので、波が来たら一瞬にして消えてしまうのだけれども、それでもまた1個ずつブロックを積んで、城をつくっていかなくてはいけない。永遠に続くことかも知れませんが、それをやらなければ、日中の将来はないと思います。

飯田)表面上は崩れてしまうところがあるかも知れないけれど、奥底に残るものはあると。

宮家)彼らのプロパガンダでは、日本については先の戦争のことばかりなのだけれども、戦後77年、日本が一体何をしてきたのか。そして国交正常化から50年、日本は何をしてきたのか。「それをよく考えてください」ということです。中国共産党の立場上、それは認めないのだけれども、わかってくれる中国の人たちは必ずいると思います。

飯田)中国の人のなかには。

宮家)その人たちにきちんとアピールしなくてはいけない。政治戦をやっても勝ち目はないから、やはりメディアやエンターテインメントを通して、彼らの心のなかに入っていかなければいけないと思います。

飯田)表面上の国際関係が緊張してくると、「すべて離れてしまえ」という向きもありますけれども、ある程度つないでおくところも必要ですよね。

宮家)隣の国と関係を断つことはできませんし、すべきではないのです。いつか必ずそれが実るときはくるはずですから、対話と交流は続けていくべきだと思います。

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