キャスターの辛坊治郎が10月13日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。立憲民主党と日本維新の会が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者らを救済する法案を国会に共同提出しようとしていることについて、「成立しない法案であり、与党攻撃のツールに過ぎない」と、両党の思惑を指摘した。
立憲民主党と日本維新の会は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の霊感商法や高額献金をめぐって、被害者本人以外の家族らも一定額以上であれば被害の回復を求められることを柱とした救済法案を国会に共同提出することで合意した。
辛坊)旧統一教会をめぐる問題に関し、与党の自民党が及び腰であるということを際立たせたいという野党側の思惑が、こういう形に出てきているわけですね。思想的に水と油の立民と維新が国会の中では歩調を合わせようという動きがあることについては、「どこまで一緒にやるんだ?」という見方はありますけれども…。
私はこのニュースを聞いたときに、旧統一教会の被害者救済に向けた法案を出すといっても、そんな法律なんて作れるのかと思いました。法律というものは適用範囲が明確になっており、ターゲットが明確なんです。何が犯罪か、何をしたらどういう罪になるかということに関しては、しっかりと明文化されていなければなりません。法案の段階でも同様です。旧統一教会をめぐる問題を受けた被害者救済に向けた法案といいます、ターゲットを絞るのは難しいと思いますよ。
報道によると、法案では救済の対象を限定するようですね。マインドコントロールなどの悪質な手段によって、年収の4分の1を目安とする著しい損害を生じさせる寄付誘導などの行為があった場合には、中止や再発防止の要求ができるようにするそうです。加えて、是正命令に応じない場合には、刑事罰も科すようにするらしいです。ただ、立民と維新が束になって法案を作ったからといって、与党が国会で賛成しなければ成立しません。
辛坊)また、旧統一教会をめぐる世論は今、非常に厳しいですが、この厳しい世論がどこまで続くかは不透明です。法案を提出した後、それが議論され採決されるときまで、厳しい世論がもつかは分かりません。
一方、法案には旧統一教会が対象とは書かれません。当然のことながら、旧統一教会という特別な宗教団体をターゲットにする法律など作れるわけがないからです。そうなると、法案の対象は旧統一教会にとどまらない可能性が出てくるわけですね。ところが、いわゆる信教の自由がありますから、旧統一教会以外の教団からも「ちょっと待て」といった水面下の意見は出てくるでしょう。そうすると、立民と維新が共同で法案を出したとしても、国会で与党が通すのは相当難しいと思いますよ。
ですから、こうした法案は対世論的に出すことに意味があるということになります。法案が可決されて成立するとは思っていないけれども、何となく世論の雰囲気でいうと、与党は旧統一教会問題に及び腰で反カルト法のようなものも作らないし、旧統一教会の被害者救済のための法律も作るつもりがない。また、旧統一教会をターゲットにした世論が求めるような厳しい対応ができるような法律も、与党は出す気配がない。だから、この法案を与党攻撃のツールとしては極めて効果がありそうなので出します。そういう思惑です。
立民と維新は、どこまで本気でこの法律を作るつもりがあるのだろうか。私は、素朴に疑問を感じます。水と油の立民と維新が手を組んで国会に法案を出そうとしているわけですが、世論が期待するような旧統一協会だけを名指ししてピンポイントに制裁を科すような法律は、日本の憲法の枠組みからすると、まず作れません。法案を出すこと自体が国民へのアピールなのではないかという感じがしますので、今後の推移をしっかりと見ていきたいと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)