日本が中国と対峙するためには「すべての意識を変える」必要がある
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が10月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月16日に開幕する中国共産党大会について解説した。
中国共産党大会
中国では10月16日、5年に1度の中国共産党大会が開幕し、習近平総書記(国家主席)の3期目入りが確実視されている。2002年の江沢民総書記以後、党指導部は党大会で党の「最優先課題」は経済発展だと確認してきたが、3期目入りが確実視されている習氏はこうした文言を外し、代わりに「発展と安全保障のバランス」を取るよう求めるスローガンを支持しそうだとアナリストらはみている。
飯田)昨日(10月13日)、毎日新聞・中国総局長の米村耕一さんと電話をつないだとき、まさに「安全保障の部分を重視している」というような話がありました。中国がどう動いてくるかは、日本にとっても喫緊の課題となります。
松井)若い人たちは、いまの中国の状況を当然だと思っているかも知れませんけれど、20年前には、先進国は中国を相手にしていなかったわけです。「所詮は中国だから」と。
全体の意識を変えなければならない
松井)ところが、いまやすべてのプレゼンスが大きくなっている。軍事力は典型的で、日本は大きく水をあけられてしまっています。政界は30年くらい前の常識で話していることが多いのですが、全体の意識を変えていかないと、どうしようもないですね。
飯田)全体の意識を変えていかなければ。
松井)防衛費の対GDP比2%の議論もそうですが、ある種アメリカですら置いていかれそうな覇権国であり、しかも政権が長期化している。そして、ある種の求心力はまだ高いという状況です。
正しく競争して政策を磨き合うような国にしなければ、中国との差はますます開いていく
松井)一時、自民党の若手議員が、中国はスピードアップする政府体制で、集権的に素早く物事を決められる。だから日本も二大政党制と言わず、いかに強い自民党政権のなかに強い官邸をつくり、意思決定を速くすることができるかという話をしていました。半分は正しいと思います。国内でゆっくり議論しているのでは追いつきません。
飯田)いまのままでは。
松井)他方、これは持論ですが、きちんと競争してきちんと政策を磨き合うような国をつくっていかないと、ますます置いていかれると思います。河野太郎さんを評価するところは多いのですが、イージス・アショアをやめるときに、表で「やめる」と言ってしまった。
飯田)言われましたね。
松井)やめると言うことは、河野さんの行革精神では正しいのかも知れません。でも「やめる」と言うと、(防衛に)穴が空くことを世間に示してしまうわけです。中国や北朝鮮のような価値観の違う国が隣国にあるということを意識して、もう少し発想を変えていかないと、ますます大変なことになると思います。
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