作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴と、数量政策学者の高橋洋一が10月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。核論議の必要性について解説した。
「核論議のタブー」を乗り越えて議論するべき
飯田)中国がどれだけのもので日本を狙っているのか、ある意味での脅威認定をした上で、日本がどのように備えるのか。本当はその部分を議論するべきだと思うのですが、財源の話や個別に何を装備するのかという、細かな話にいきがちな報道が続いている気がします。中身の議論はどうなっているのでしょうか?
青山)本質論に踏み込めないことで言うならば、本当の原因は核論議にあります。中国は昔から核兵器で日本を脅しています。中距離核ミサイルで、30万人以上の人口がある日本の都市は、すべて射程範囲内にあります。「照準を合わせている」ということは大昔からあるのです。
飯田)日本の大都市すべてが射程範囲内にある。
青山)それに対抗する抑止力を持つためには、日本で核論議を進めなければなりません。それが完全にタブーになったままなので、「本質論に踏み込むと危ない」という意識が公明党はもちろん、自由民主党のなかにもあるのです。
飯田)核論議をすることがタブーになったままなので。
青山)私が議員になってから党内で言っているのは、内閣を持たせるとか、1つの内閣を続けることを目的にするのは本末転倒であり、短くても長くても関係なく、「本質的なことができるかどうか」が大事だということです。
飯田)本質的なことができるかどうか。
青山)なぜ中国と向かい合うのかという理由は、自国の利益だけではありません。アジア諸国のカンボジアやラオスなど、親中と呼ばれる国々でも、実際に行ってみると中国が好きな人はいません。メコン川に巨大なダムをつくられて川の流れが変わってしまい、利益がすべて中国側に行ってしまっているのです。最も苦しんでいるのはラオスやカンボジアの方々だということを、実際に歩いて感じています。
飯田)親中と言われるカンボジアやラオスで。
青山)日本の責任は、中国の独裁主義からアジア全体を守ることです。中東が発火点だったのは過去の話で、アメリカはシェールガスやシェールオイルを実用化し、日本でも細々ながら自前資源の話が始まっています。中東だけがエネルギーの宝庫ではないので、アジアの独裁主義であるロシアと中国と北朝鮮が、明らかに社会の悩みの原因なのです。それに対して、古代から民主主義国家の日本がどう対峙するかということなのです。
飯田)日本の責任は。
青山)核の問題も含めて、広島や長崎の方々ともよく話し合いながら、いままでのタブーを乗り越え、少なくとも議論はしなくてはなりません。私はいま77人の議員集団の代表でもありますが、そこで核論議や勉強会もこれからしようと思っています。
「核共有」だけでは解決しない ~核共有が抑止力になっていないヨーロッパの現状
飯田)安倍さんは、「核共有を議論しよう」という話をされていました。
高橋)あの議論が「自民党のなかでどうなってしまったのか」ということが心配です。とりあえず核共有の議論をしようという話がありましたが、引っ込んでしまいました。
青山)私が代表している議員集団「日本の尊厳と国益を護る会」は、77人が所属する大きな組織なので、そこで始めていきます。ただ、私は安倍さんの言っていた核共有だけで解決するとはとても思えません。ヨーロッパで実際に核共有の国々を回ってみると、抑止力にはあまりなっていないのです。
飯田)そうなのですか。
青山)そもそも核共有と言っても、核兵器を入れている兵器庫の鍵は、アメリカ軍が持っているのですから。
飯田)アメリカの許可なしには撃てない。
青山)そして、核兵器は実は劣化しやすいので、本当にいま使えるものなのかどうかも疑問です。安倍さんとしては、問題を初めて提起するという意味ではよくおっしゃったと思いますが、それがゴールだとは思っていません。
「核を持たない」という議論だけでは日本を守ることはできない ~一方では「核をなくす」ということも正しい
青山)岸田総理がおっしゃるような「核を減らしていくべきだ」という考え方も、もちろん正しいので、それと矛盾するということも考えなければなりません。ただし、「核をなくしましょう」と言うだけではテロリストやテロ国家が喜ぶだけです。
飯田)核の話と弾道ミサイルについての話で、ここを組み合わせて、どこがどのように持つのか。潜水艦から対応するのかなど、いろいろと選択肢は広がっていきます。
青山)潜水艦のことも大きいですよね。イギリスには地上発射核はなく、原子力潜水艦の海のなかの核だけで抑止力を持っています。
飯田)イギリスはそこで抑止力を持っている。
青山)そのようなことも日本は考えなければいけません。かつて日本は「むつ」という原子力船があっただけで大騒ぎになりましたが、もうそのような未成熟な世論ではなくなっています。激しい言い合いや議論は必ず必要です。高橋さんや私のように考え方が近い人と話すだけではなく、考え方がまったく異なる人とも議論しなければいけません。自公の協議にしても、「公明党のおっしゃることをお聞きしましょう」という雰囲気だけではなく、前よりは「まともに議論したい」という空気になっているのではないでしょうか。
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