スポーツライターの飯尾篤史氏が11月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。現地・カタールから11月23日に行われたサッカーワールドカップの日本の初戦である日本対ドイツ戦の模様を語った。
現地・カタールのサポーターも日本を応援 ~後半、一気に選手もスタジアムの雰囲気も変わる
飯田)スタジアムの雰囲気などはいかがでしたか?
飯尾)スタジアムは満員でした。日本のサポーターの方がドイツのサポーターより少なかったのですが、後半、現地のサポーターが日本の応援を始めたのです。
飯田)現地カタールのサポーターが。
飯尾)日本のプレーに拍手や歓声が湧き、ドイツのプレーにブーイングが湧いて、日本は完全にスタジアムを味方につけたような戦いでしたね。
飯田)前半と後半でスタジアムの雰囲気や、代表の戦い方も大きく変わりましたか?
飯尾)前半はドイツが圧倒的にボールを保持していて、スタジアムにも「ドイツの圧勝かな」という雰囲気が漂っていたのですが、後半、日本がシステムを変えて反撃に出て、一気に試合の流れもスタジアムの雰囲気も変わりました。
後半、「3-4-2-1」にシステムを変えて日本の攻勢が始まった
飯田)選手交代が効いたということですか?
飯尾)日本は最初「4-2-3-1」というシステムで戦っていたのですが、後半から「3-4-2-1」に変えました。これでドイツのマークがはっきりするようになり、そこから日本の攻勢が始まっていきました。
飯田)後半、攻める選手をたくさん投入しているイメージがありましたが、最初はまず守りを固めて、というところだったのですか?
飯尾)前からボールを奪いに行くのですが、「誰が誰に向かって奪いに行くのか」ということがはっきりしたので、攻撃的な守備が機能したという感じです。
入念に仕込んだ「ドイツ対策」がうまくはまった
飯田)文藝春秋の「Number」で密着同時進行ドキュメントという形で取材されていますが、今回の「2点取る形」についても書いていらっしゃいました。その端緒を日本代表が掴んでいたのですか?
飯尾)練習も非公開でしたので、詳しいことはわからないのですが、選手からの話も含めると、ドイツ対策として入念に仕込んでいたようです。それがうまくはまったのではないでしょうか。
飯田)ボールを奪ったあとの動き、また、向こうから2人来たところでどう出すのかというイメージのようなものは、かなり入念に練られていたのですか?
飯尾)選手たちで練った上、選手全員で共有できたことが大きいと思います。
いいチーム状態で迎えられた今回のワールドカップ
飯田)前回のロシアのワールドカップと比べて、雰囲気の違いや共通点などはありますか?
飯尾)共通点は、チームに活気があり、選手間のコミュニケーションやディスカッションが活発だということです。前回のロシアのときにはご存知のように、2ヵ月前に監督を交代しましたので、間に合うかどうかという不安感、危機感が直前まで拭えませんでした。
飯田)そうでしたね。
飯尾)今回は4年間、森保監督がチームを率いて、直前までやるべきことを詰めてきました。そういう意味では自信もありますし、非常にいいチーム状態で試合を迎えることができたと思います。
海外でプレーする選手の経験が活きている
飯田)海外でプレーしている選手が多く、「代表として一体感が出せるのかどうか」とメディアでは言われていましたが、その辺りはどうなのでしょうか?
飯尾)そこはこの4年間の課題でもあったと思いますが、9月からの2ヵ月で急速にまとまってきました。まとまってくれば、逆に海外でプレーする選手たちの経験や力が活きるようになったと思います。
次の試合に勝たなければ、今回の勝ち点3の意味もなくなる
新行市佳アナウンサー)試合後、選手に話を伺うことはできましたか?
飯尾)森保監督は会見に出て、選手はミックスゾーンに来るのですが、私たちはどちらかにしか行けません。私はミックスゾーンに行ったので、選手の話はひと通り聞くことができました。
新行)印象的な話はありましたか?
飯尾)長友選手以外は、意外とみんな「落ち着いているな」ということです。
飯田)なるほど。
飯尾)長友選手は「あえて興奮している」ところを演じている部分もあると思いますが、他の選手たちは、ひとしきり喜び終えたあとということもあると思うのですが、意外と落ち着いていました。いちばん多かった言葉が「次の試合に勝たなかったら、今回の勝ち点3の意味もなくなる」でした。何人もの選手が言っていました。
飯田)次の試合に勝たなければ。
飯尾)ミックスゾーンの取材を受けるときには、ドイツ戦は終わったことだと。「次へ」という切り替えをしていました。
ドイツ・ブンデスリーガに所属している選手が多い日本 ~気後れせずに戦うことができた
飯田)若い選手たちの視野の広さは、これまでの選手との世代の違いがありますか?
飯尾)若い世代の選手たちは普段からヨーロッパで戦っています。実際、ドイツ代表は、ほとんどドイツリーグのブンデスリーガでプレーしているのですが、日本代表選手が海外で最も多くプレーしているのがブンデスリーガなのです。昨日(11月23日)の試合では、ドイツ代表メンバーの選手9人くらいがチームメイトや日常的に戦っている選手です。ですので、気後れせず、名前負けしないで戦うことができたのだと思います。
コスタリカ戦では選手を大きく替えてくる可能性が高い
飯田)次の試合は27日の日曜日。日本時間では夜7時からのコスタリカ戦です。先ほど「勝たなくてはいけない試合」とおっしゃっていましたが、どう予想されますか?
飯尾)森保監督は、ドイツ戦からメンバーを「ガラッ」と変えてくると思います。いままでのワールドカップは「中4日」で進んでいたのですが、今回は「中3日」で進むのです。中3日というのは、試合間隔としてはかなり厳しいと思います。
飯田)そうですね。
飯尾)しかも今回のドイツ戦で、スタメンの選手たちは疲労困憊だと思います。しかし、森保監督は「日本代表は誰が出ても実力が落ちない」チームづくりをしてきたので、鎌田選手や遠藤航選手など替えのきかない選手もいますが、思い切ってチームを「ガラッ」と変えてくると思います。
飯田)怪我をしている選手などはいますか?
飯尾)「絶対に出られない」という怪我人はいないと思いますが、選手を1試合休ませることも想定してチームをつくっているため、「この11人でなければ戦えない」というものではありません。その意味でも、選手を大きく替えてくるのではないでしょうか。
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