ジャーナリストの佐々木俊尚が12月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北京で行われた江沢民元国家主席の追悼大会について解説した。
江沢民氏の追悼大会、習氏が天安門対応を称賛
中国共産党や中国政府などは北京の人民大会堂で12月6日午前、11月30日に96歳で死去した江沢民元国家主席の追悼大会を開いた。習近平国家主席が弔辞を述べ、江沢民氏が1989年の天安門事件の際に上海市のトップとして「安定を守った」と称賛した。
飯田)葬儀委員会は習近平氏がトップで、党員や幹部、国民が集まって中継を視聴するよう指示したということです。
佐々木)なぜ、ここで天安門事件を称賛するのか。江沢民氏は北京のトップではなく、上海のトップですから、あまり関係ないと思うのですけれども。
飯田)国を率いた業績は別にあるというところですか?
江沢民氏の功績 ~経済の改革開放運動を守った
佐々木)江沢民氏の業績は、天安門事件にあるのではありません。当時はまだ国家主席ではないですからね。鄧小平氏の継承者として、経済の改革開放運動を守ったことが1つです。
飯田)経済の改革開放運動を守った。
佐々木)それまで共産党は共産主義だから、資本主義には反対でした。階級政党であり、資本家はなくさなくてはいけないという社会主義だったけれども、21世紀に入ってからは、アリババやテンセントなどのネット企業が成長していった。そこで資本主義のなかにある「資本経済の資本家階級も共産党の仲間なのだ」と言ったことが、大きな功績だと言われています。
飯田)「三つの代表」論。
集団指導体制を守った
佐々木)もう1つは、集団指導体制を曲がりなりにも守ったということです。鄧小平氏が引いた路線は2つあって、1つは毛沢東の文革や大躍進運動の反省から、絶対に独裁政権にはせず「集団指導体制を守れ」ということです。もう1つは、共産主義そのままの経済では絶対に成長できないので、改革開放を行って資本主義にしていくという方針です。
飯田)先富論と言われましたね。先に富めるものから富んでいって、あとから来る人たちを引き上げてやれという。
江沢民氏の2つの功績を否定する習近平氏 ~東京にいるアリババ創業者のジャック・マー氏
佐々木)江沢民氏の功績は、その2つをきっちり守り、さらに広げたことだと思うのです。逆にいま習近平氏は、両方とも否定しつつある。
飯田)3期目に入って、周りは子飼いで固めるという。
佐々木)自分に反対する側の人間は放り出して、独裁政権を固めつつある。もう1つの改革開放である資本主義化に関しても、「共同富裕」などという言葉を使い、平等を守らなければいけないとしています。
飯田)共同富裕。
佐々木)確かに中国はものすごい勢いで格差化が進んでいると言われていて、一部の富裕層だけがお金持ちになっているのはよくないという話はわかるのですが、アリババやテンセントなど、ネット企業大手への締め付けを強くしています。アリババの創業者であるジャック・マー氏は、行方不明になっていたと思ったら、最近は東京にいるらしいです。
飯田)「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が報じていました。
佐々木)ジャック・マー氏は東京でいったい何をしているのかと思うのですけれども。逆に日本は、中国から逃げてきた優秀な企業家や富裕層を受け入れて、日本で会社をつくってもらった方がいいのではないかと思います。
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