キャスターの辛坊治郎が12月27日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。アメリカのIT大手アップルの日本法人「アップルジャパン」が東京国税局から消費税約140億円を追徴課税されたニュースについて触れ、「性善説に基づく日本の免税制度自体がおかしい」と指摘した。
アメリカのIT大手アップルの日本法人「アップルジャパン」(東京都港区)が東京国税局からの税務調査を受け、消費税約140億円を追徴課税されたことが分かった。アップルジャパンは昨年9月までの2年間で免税制度を利用した売上のうち約1400億円が要件を満たさないとして、東京国税局から消費税分の140億円を追徴課税された。免税販売をめぐる消費税の追徴額としては過去最大規模とみられる。
辛坊)私は、そもそも免税をやめたらいいのではないかと感じています。例えばヨーロッパの国々では、免税対象者が当該国内で買い物をした場合でも、いったんはその店で税金を支払い、出国する際に空港で還付手続きをすると、後日、税金が戻ってくるといった免税システムが一般的です。
ところが、日本は独特のシステムを運用しています。日本の街中には免税の看板を掲げている店が多数あります。その店で外国人ら免税対象者が一定の証明をすると、買い物をしたその場で免税となります。ところが、このシステムは、免税で購入した商品をそのまま日本国内で転売する違法行為の温床にもなっていると、私は考えています。ただ、海外へ持ち出して転売した場合の違法性は微妙なところです。
その日本国内のアップルショップに目を転じてみると、例えばアイフォーンは全世界の中でも圧倒的に安く購入できます。加えて円安の影響もあり、非常に安いです。今回、東京国税局は、個人利用をはるかに上回る商品数を同一人物に売っていることに目をつけたようですね。つまり、「購入者が消費税逃れのために免税制度を悪用したのだから、その分の税金は売り手側が支払え」という理屈です。ですから、「アップル側が脱税した」という印象とは、いささか異なるようにも見えます。
私は、そもそも面倒な免税システムは日本に必要ないと思います。例えばアメリカの売上税にように、外国人、アメリカ国民を問わず、売り上げた段階で税金が発生するようにすればいいんですよ。そうすれば、脱税なんてなくなります。それでも免税措置が必要なのであれば、ヨーロッパのような還付システムにすればいいんです。
日本の現在の免税システムは、基本的に性善説に基づいています。その制度自体がおかしいと考えますね。今回のニュースでは、追徴課税されたのがアップルの日本法人だということに関心が集まっていますが、制度的な問題のほうがニュースの本質だと考えます。日本独特の性善説に基づく免税制度が、今のままでいいとは思えません。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)