スタッフも感染し大混乱 中国在住の医師が語る「ゼロコロナ後の医療現場の実情」

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中国・上海「パークウェイ医療」の友成暁子医師が1月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国における新型コロナの医療現場について解説した。

スタッフも感染し大混乱 中国在住の医師が語る「ゼロコロナ後の医療現場の実情」

中国の旧正月「春節」を迎え、観光客らでにぎわう横浜中華街。伝統の獅子舞い「採青=2023年1月22日 写真提供:産経新聞社

春節でどう変わる? 中国の新型コロナ医療現場

中国の春節(旧正月)に合わせた大型連休が1月21日から始まった。新型コロナウイルスを抑え込むゼロコロナ政策終了後、初めての連休であり、1月27日まで続く。中国国内では都市から地方への人の移動が活発化することにより、医療資源が乏しい農村部を中心に新型コロナの感染拡大や重症者の増加が警戒されている。

スタッフも感染し、大混乱した中国の医療現場

飯田)2022年12月からゼロコロナ政策が緩和されました。一気に感染爆発したという報道が日本でも出ていますが、実際にご覧になっていて、いかがでしたか?

友成)12月中旬くらいから、2週間足らずのうちに周りが全員コロナに感染するくらいの勢いでした。それまでゼロコロナ政策でほぼゼロだったコロナ患者さんですが、ほぼ全員がコロナ感染の患者さんになるような状態でした。

飯田)一気に押し寄せることになると、お医者さんは大変ですよね。

友成)そうですね。スタッフ自身も感染してしまいましたので、医療者の人手不足かつ患者さんの増加で、ダブルパンチというような状態になっていました。

飯田)医療機関でもクラスターが出てしまうと、手が回らないという感じでしょうか?

友成)一時は40人いる人員のうち、フロアのスタッフが3人になってしまいました。ほんの数日ではあったのですが、大変でした。

限られた人員で対応 ~当日には診られない患者も

飯田)医療提供はどんなことをされたのですか?

友成)(診療を)止めるわけにはいきませんので、限られた人員でどうにか患者さんを診ました。待ち時間も長くなりました。私の友人が勤めている病院の救急外来では、普段は30分、長くても2時間待ちだったところが、8時間待ちや当日中には診られないような状態になっていました。できる限りのことを行っていたという状態です。

早めに抗ウイルス薬のパクスロビドが提供された ~高リスクや重症化しそうな患者に使用

ジャーナリスト・有本香)具体的に重症化した方々には、どのような治療をされているのですか?

友成)抗ウイルス薬のパクスロビドが早めに供給されましたので、まずそちらを高リスクの患者さんや重症化しそうな患者さんに提供することができました。

飯田)パクスロビドを。

友成)もちろん、一気に患者さんが来てしまいましたので、パクスロビドがなくなるときもあったのですが、何とか治療しました。あとは日本と同じく、人工呼吸器やECMOが必要な患者さんも出てきました。

分析データが少ない

有本)中国では、中国国産ワクチンの接種を進めてきたと思うのですが、効果はいかがですか?

友成)まだ非常に難しいと思います。いままでアルファ株、ベータ株、デルタ株などにまったく晒されてこなかった国民ですので、他の国のように、軽くでもウイルスに曝露されていて、かつワクチンを打っていた国とは違います。

有本)そうですね。

友成)純粋にワクチンだけを打っていたというバイアスも掛かりますので、科学的にしっかりと分析したデータが欲しいと思います。

「どの病院に何が足りないか」を政府が把握していて、薬などの供給は早い

飯田)先ほどパキロビッド(パクスロビド)、新しくつくられた新型コロナの対応薬の話がありましたが、薬の供給は潤沢なのですか?

友成)感染爆発した12月中旬には、まず解熱剤が市内からなくなってしまいました。そして12月末に中等症~重症の患者が増えてきた際には、パクスロビドや(人工)呼吸器とともに使うステロイド薬、酸素自体も非常に少なくなった瞬間がありました。しかし、意外とすぐに供給されました。デジタル化が非常に進んでいますので、「どこに何が足りない」ということを政府が把握しているのです。

小さな子どもや高齢者は優先して診察する

飯田)高リスクの方や、お子さんなどの感染はいかがですか?

友成)どんな疾患もそうですが、赤ちゃんや3歳以下のお子さんについては注意して診なければいけない面があるので、優先してお子さんや高齢者の方を診るようにはしていました。小さいお子さんが来たときには、救急外来で8時間待ちにはせず、2時間以内に診るようにしていました。

新たな変異株はまだない

飯田)新型コロナウイルスが悪い方に変異している、などという情報はありますか?

友成)出てくるにはまだ早いので、いまのところはないのですけれども、今後はそういう可能性も注意しながら対応しなくてはいけないと思っています。

海外へ行った人から新たな変異株が持ち込まれる可能性を危惧

有本)ちょうど春節で、延べ20億人くらいが大移動すると言われています。おそらくまた感染が拡がる。それから先生がおっしゃっていたように、この先さらに変異する可能性がありますが、相当危惧されているのですか?

友成)1つは、いまあるウイルス自体がどれだけ拡がるかということです。国民が一気に感染していますので、ピークのようなものがもう一度くる可能性は低いと思うのですけれども、それは国内移動の話です。

飯田)国内の場合は。

友成)海外については(行動制限がないのは)4年ぶりなので、やはりかなりの人数が海外に行っています。ですので、海外でいま流行している「XBB.1.5」などが入ってくることが警戒されていますし、物理的な移動の動きだけで変異株がどれだけ出るのか。どこの国でもそうですけれど、やはり今後1ヵ月くらいは注意して見なければいけないと思います。

4万人の邦人がいる上海 ~日本人の対応

飯田)上海には邦人の方々もたくさんいると思います。邦人の方々はどういう対策などをとっていらっしゃいますか?

友成)上海は世界的には第二の邦人都市で、4万人近くの邦人の方がいらっしゃいます。皆さんよく対策されています。解熱剤を備蓄したり、日本に一時帰国される方も多いので、そのような方は日本の薬を買ってきています。第1波で薬がなくなった経験もありますので、第2波が来てしまったときも、皆さんしっかり対策されていらっしゃいました。

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