米中貿易額が過去最大も 実情は「最先端や軍事関連の貿易」一切なし
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数量政策学者の高橋洋一が2月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。過去最大となった2022年の米中貿易額について解説した。
米中貿易額が過去最大
米商務省が発表した2022年の貿易統計によると、対中国の輸出入を合計した貿易額は約91兆円で、最も多かった2018年を上回って過去最大を記録した。
貿易の内容はローテクのものばかり ~最先端や軍事関連の貿易は一切ない
飯田)アメリカはおもちゃなどの日用品、中国は大豆などの食品関連で輸入が増えたようです。
高橋)ローテクですね。米中の間でも「ローテクの貿易は構わない」ということでしょう。
飯田)その辺りは切り分けて考える。
高橋)先端的なものや軍事関連は一切ダメです。コンピューターなどはダメでしょうけれども、さすがにおもちゃなどは構わないでしょう。
アメリカ、オランダ、日本が先端半導体技術の対中輸出規制を強化 ~3ヵ国で世界シェアの8割
飯田)去年(2022年)の10月には半導体についても一層厳しくなり、製造装置等々も含めて「中国に提供してはいけない」となった。これは日本もオランダもそうです。
高橋)半導体は、よく台湾と韓国が強いと言われるでしょう。しかし、本当は半導体の製造装置の方が重要なのです。製造装置は日本とオランダとアメリカの上位5社で、シェア8割を占めています。
飯田)世界シェアの8割を占める。
高橋)だから、その3ヵ国がガッチリ対応すると、韓国も大変になるし、みんな大変になる。韓国はどちらにつくのか、よくわからないですからね。製造装置に関しては、オランダが西側なので、そちらを抑えるという方向ではないでしょうか。
飯田)先日の日米首脳会談でもこの話になり、直後にオランダのルッテ首相もホワイトハウスに招かれて、同じようにネジを巻かれたらしいです。
高橋)オランダ側は困ってしまったと思いますけれども。
飯田)ヨーロッパ全体のインフレも上がるし。
高橋)ここは「仕方がない」と思ったのではないでしょうか。
日本の半導体製造装置の技術が進んでいる理由
高橋)半導体の製造装置になぜ日本が入っているかと言うと、基本的にカメラなのです。画像で撮るでしょう。それと似ているため、光学機械の技術で関与しているのです。
飯田)カメラの技術で。
高橋)半導体の製造装置など、普通はわからないですよね。でも、製造装置がなかったら半導体はつくれません。
高性能な「ロジック半導体」製造装置がつくれない中国
高橋)それが根底にあるので、中国には新しい製造装置が入らない。仮に製造装置を輸出してもらっても、古いものばかりでは半導体の製造は難しいですね。CPU(中央演算処理装置)などで新しいものをつくろうと頑張っているのですが、つくれません。
飯田)そこはいままでの投資の蓄積がありますか?
高橋)中国ではリバースエンジニアリングなど、分解していろいろ調べているようですが、私が家でパソコンを使っているようなレベルの話ですから、最先端まではいかないですね。
「どうでもいいもの」だけ取引している米中
飯田)逆にアメリカとしては、西側陣営でここを抑えておけばいいと考えている。
高橋)そうでしょうね。現代の戦争は情報戦もそうですが、半導体が重要です。特にCPUなど。
飯田)弾道の計算にしろ、何にしろ。
高橋)すべてに関係します。
飯田)つまり過去最大の数字になっても、米中が再び仲よくなるわけではない。
高橋)中身を見れば違うでしょう。航空機関連などを見ればまったく違ってくると思います。「どうでもいいものだけ取引している」という感じです。
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