安倍晋三回顧録
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作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴が2月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月8日に刊行された『安倍晋三 回顧録』について解説した。
安倍元総理が判断した「アビガン」承認はどこで覆されたのか ~『安倍晋三 回顧録』
2022年7月、安倍晋三元総理が凶弾に倒れ亡くなった。安倍元総理が歴代最長となる通算8年8ヵ月の政権をインタビューで振り返った『安倍晋三 回顧録』が2月8日、中央公論新社から発売された。収録されたインタビューは安倍氏の総理退任後の2020年10月から1年ほどの間に合計18回、36時間にわたり実施されたもので、各国首脳と交わされた会話や、安倍氏の心情などが赤裸々に吐露されている。
飯田)読売新聞の橋本五郎特別編集委員と尾山宏論説副委員長が聞き手を務め、国家安全保障局長を歴任された北村滋さんが監修しています。
青山)いきなり最初からショッキングな話が出てくるのですが、「アビガン」を覚えていますか?
飯田)新型コロナの。
安倍元総理が判断した新型コロナ治療薬「アビガン」の承認は厚労省の薬事課長の反対で止まった
青山)日本の富士フィルムグループである富山化学工業がつくった特効薬「アビガン」。この件で安倍さんと電話をして、安倍さんが「アビガンは効くのだよ」と言っていたのを覚えています。「ドイツのメルケル首相が欲しいと言ってきた」などと。
飯田)そうですか。
青山)私も自分でいろいろ調べて、「アビガンは効くので特効薬でやろう」となったのですが、現在に至るまでできないままになっているのです。
飯田)そうですね。
青山)「どうしてだろう」と思っていたのですが、その部分が冒頭から出てきます。私は新型コロナを「武漢熱」と呼んでいますが、そこから始まるのです。安倍さんは、自分は認可を出して国民に使っていただこうと決めて、厚労省に指示した。局長まではOKした。では、誰が反対して止まったのか。それは「薬事課長」だと、はっきり言っています。
飯田)薬事課長。
青山)官邸の人事権は局長までは届くけれど、課長には届かないのです。薬事課長がなぜ反対したかと言うと、薬害訴訟になることを恐れていたからです。根拠などないのですよ。
飯田)薬害訴訟になるような根拠はないのに。
青山)ただ保身で恐れて、許可しなかったのです。課長によって総理の判断が覆されてしまった。
飯田)安倍元総理の判断が。
青山)生前、「この出版を止めてくれ」とおっしゃっていた理由が、いきなり最初から出てくるなと思いました。私も個人のことを言おうとしているのではなく、課長級で止められたということです。それで「安倍政権は何でもやるのだ。安倍政治許すまじ」と朝日新聞などが……。
飯田)「独裁!」などと書いたりした。
アビガンが使えていれば救えた人も
青山)キャンペーンを張って「人事を乱用している」と言っていましたが、実はその逆で、官邸の人事権が課長には及ばないからアビガンが使えなかった。そのために国民が何人も亡くなっているのではないでしょうか。その過程はシュミレーションできませんが。しかし、1人~2人ではないと思います。恐ろしいことです。
飯田)そのために亡くなった人は。
青山)いまでこそ収まってきているけれど、一時期、死者が増えた時期もありました。その時期にアビガンがあったらと思います。安倍さんは冒頭部分で、「自分は許可したのに止まった」ということを言っている。ただ、この回顧録は安倍さんが亡くなったから出版されたということですが、昭恵夫人の許可を得たとは言え「安倍さんとしてはオッケーなのか」と、個人的には思います。
歴史に残る本
飯田)当時、現役で課長だということは、いまも役所内にいらっしゃるでしょうし。
青山)いや、そうではなく、安倍さんのご意思として、自ら話したことについて「刊行は待ってくれ」ということでしたから。ただ、社会的な意味が大きいから出版されたこともよくわかります。側近の北村さんが動かれたのも、そういう理由だと思います。プラスの方がはるかに大きいという意味でしょうね。歴史に残る本です。
飯田)当時、私も取材していて「アビガン」の名前を聞き、「日本は世界で最初に立ち直れるかも知れないな」と思いました。
青山)アビガンをつくった「富山化学が小さいから」とも言われていましたが、「富山化学は小さいので、厚労省に対して影響が小さいのだよ」と安倍さんも言っていました。回顧録には出てこないけれど。
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