国際政治アナリストの菅原出氏が7月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。参院選の応援演説中に狙撃、暗殺された安倍元総理の現場での警備体制について語った。
検証・見直しチーム
警察庁は7月12日、警護警備に関する「検証・見直しチーム」を立ち上げた。現場の警護警備の体制や配置の他、都道府県警察の警護計画などに対する警察庁の関与のあり方についても問題点の洗い出しを進める方針だ。また、奈良県警や警視庁警護課の関係者らに事情を聞くことも検討し、8月中に結果を取りまとめ、警備上支障のない範囲で公表するとしている。
安倍元総理を襲撃した容疑者が動き始めてから1回目の発射まで9秒間 ~その間に容疑者を止め、横にいる警護要員に警戒を促すことは可能だった
飯田)安倍元総理大臣への襲撃、暗殺という事件を受けての対応であると思いますが、海外の警護の常識から見て、今回の問題点はどういうところにあるとお考えですか?
菅原)基本的には、後ろを誰も警戒していなかったということが、いちばんの問題だと思います。日本の警察の大失態だと思います。
飯田)後ろを見ないということは、常識としてはあり得ないということですね?
菅原)あり得ないですね。360度警戒することは、基本中の基本です。通常はチームで警護しますので、360度警戒できるようにチーム内で役割分担をします。不審者が動き始めてから1回目の発射まで、9秒くらい時間がありました。
飯田)そうですね。
菅原)9秒あれば、不審者を止めるだけでなく、無線で安倍元首相のすぐ横にいる警護要員に警戒を促し、すぐに警護対象者を守るという行動ができます。9秒という時間は十分そういった行動を取るのに余裕のある時間だと思いますし、当然、そのような行動を取るべきなのです。
元総理の護衛のSPが1人ということは考えられない
飯田)人員として、東京からはSP1人、地元の奈良県警の要員も何名か、報道によってまちまちですが少なくとも4~5名はいただろうということです。この辺りの人数についてはいかがですか?
菅原)元首相の警護のためのSPが1人という情報を聞いて、私は愕然としました。そもそも1人では身辺警護はできません。エスコートと呼ぶのですが、警護にはなりません。
警護対象者の周りをドーナツのように円周で囲い、警護する「セキュリティリング」 ~そのための人員も少なかった
菅原)基本的には、最低でも警護対象者を守る人員が2人はいて、その前に前方を警戒する要員が1人、後ろで全体を見ながら何かあったらすぐ駆けつける要員が1人いる。最低でも4人が必要で、それが中核として警護対象者を守るのです。我々は「セキュリティリング」という言い方をするのですが、対象者の周りをドーナツのように円周で囲うという体制をつくるのです。
飯田)同心円をいくつもつくっていくと。
菅原)警護対象者を中心に、いちばん内側の円は身辺警護チームが担当し、その次の円をまた別の警護チームがつくる。具体的に円を描くのではなく、概念的な話なのですが、2番目の警戒線は地元警察などが担当し、さらに外側を警備員なりが務める。そしていちばん外側の警戒ラインを破ってきたらすぐに知らせて、中心にいる警護要員が対応できるようにする。それが基本的な身辺警護のやり方です。それを行うには人員も少なかったのではないかと思います。
当たり前の警備ができていなかった
ジャーナリスト・鈴木哲夫)映像を見ても、地元県警の警備に立っている人は、安倍さんに背中を向けて外側を見ます。だから、それが当たり前にできていたら絶対に止められたと思うのですが、できていなかったということですよね。
菅原)おっしゃる通りだと思います。当たり前の警備ができていなかったということが、いちばんの問題です。
飯田)海外の警護を見ていても、何かあったときは警護対象者を押し倒してでも警護していますよね。
菅原)警備や警護の原則は、海外だろうと日本だろうと同じなのです。海外の場合は銃器の威力も含めて脅威レベルが高いので、それに応じて人員や警備員の装備が強力になっていくというだけで、原則は一緒です。ですから、海外の警備関係者の人たちは驚いていると思います。あれだけ不審者を近付けたということ自体に。
気が抜けていたとしか思えない
鈴木)「日本ではこういうことは起こらない」という、緩みと言ってはいけないけれども、そういう意識が警備警察のなかに多少なりともあったとみてもいいのでしょうか?
菅原)気が抜けていたとしか思えません。知らなかったとか、訓練していなかったということではないはずです。当然、銃の脅威は想定しています。防弾のカバンも持っているわけですから、銃の脅威は想定しているのです。今回は想定内の脅威ですので、それに対してまったく対応できなかったということは、気の緩みはあったと思います。
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