キャスターの辛坊治郎が3月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。台湾の最大野党、中国国民党に所属する馬英九前総統が27日、総統経験者として初めて中国を訪問したことを巡り、「国民党はかつて、中国共産党と敵対関係にあったが、実は相性がいい」と持論を展開した。
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2023年3月27日、中国・上海の空港に到着した台湾の馬英九前総統(中央)[馬英九前総統事務所提供] 写真提供:時事通信社
台湾の野党、中国国民党の馬英九前総統は27日午後、上海の空港に到着した。訪問の目的は私的な先祖の墓参りと青少年の交流としているが、中国側は政府の台湾担当部門の幹部らが出迎えた。総統経験者が中国を訪問するのは1949年の中国、台湾分断後、初めて。
辛坊)中国が台湾に対して穏やかな協調路線を歩んでいた頃は、台湾の中には「自分たちは中国人だ」という意識の人がとても多かったです。しかし、最近、台湾人の本音を聞くと「台湾は独立したほうがいい」という思いの人たちが、だいぶ増えています。背景には、中国が香港の民主運動を弾圧したことなどがあります。
そうした中で、国民党としては、ここを足がかりに中国本土に攻め上がり、「1つの中国」を目指そうとしています。この「1つの中国」というスローガンは、台湾独立を考える与党、民主進歩党よりも中国共産党との親和性が高いです。中国共産党は「台湾は自分たちのものだ」と思っていますからね。
国民党はかつて、中国共産党と敵対関係にあり、中国から台湾へ追い出されました、両者はそうした関係にありますが、台湾独立を考えている民進党より相性がいいわけです。馬英九氏は、その国民党の所属です。
国民党は、蒋介石、経国親子の時代には独裁体制を敷いていました。そして、蒋経国の時代に台湾出身の李登輝を副総統に就けました。あくまでも台湾出身者を懐柔するための策だったのですが、蒋経国が亡くなったため、李登輝が国民党のトップになりました。李登輝は日本の大学でも学び、日本語の上手な方でした。その李登輝は台湾の民主化を進めました。ところが、それが原因で政権交代が起きたんです。
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2023年3月27日、中国・上海の空港に到着した台湾の馬英九前総統(中央)[馬英九前総統事務所提供] 写真提供:時事通信社
現総統の蔡英文氏も民進党です。その民進党は本気で「台湾は独立したほうがいい」と考えています。ただ、その本音を言い出せば、中国が何をしてくるか分かりません。そこで、とりあえず現状維持の態度を続けているわけです。