日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が4月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。トランプ前大統領の起訴について解説した。

米オハイオ州デイトンの空港で演説するトランプ前大統領　2022年11月7日　AFP＝時事　写真提供：時事通信社

ニューヨーク州の大陪審がトランプ前大統領を起訴

飯田）トランプ前大統領が起訴されました。大統領選に向けた予備選の時期の起訴となりましたが、どうご覧になりますか？

秋田）先日、ワシントンに1週間取材に行き、トランプ前大統領について25～26人に話を聞きました。共和党も含めた議会指導部と、そのシンクタンクの人たちには、トランプさんの主張を支持する人は多くありませんでした。

会計処理不正で米史上初の大統領経験者の起訴は、事例として相応しくない　～世論が二分される可能性も

秋田）ただ、有権者という点で言うと、まだ共和党の支持者を中心に相当人気が高いのです。そのなかで起訴が起きたため、「諸刃の剣」という見方が多いですね。

飯田）諸刃の剣？

秋田）法律は人を選びません。ですから大統領といえども、犯罪があれば起訴するという原則は正しい。しかし、今回の容疑ですが、不倫した相手への口止め料を払ったことは犯罪ではありません。その会計処理に不正があったということです。それで米史上初の大統領経験者の起訴に持っていくには、賛否両論あるのではないかと。

飯田）そのことで大統領経験者を起訴するのは。

秋田）彼が議会襲撃を煽ったこと、もしくは2020年の大統領選におけるジョージア州での票の介入疑惑については捜査が続いているわけですが、起訴するのであれば、こちらの方が重罪なのです。

起訴後の世論調査では共和党の大統領候補者のなかで支持率が1位に

秋田）会計不正処理の方は一言で言うと、正しい原則をあまり相応しくない事例に当てはめてしまった可能性があります。

飯田）「これで？」ということになると、別の意図があるのではないかなど、世論が二分されることにもなりかねない。

秋田）起訴されたあとの世論調査でも、共和党の大統領候補者のなかで、トランプ前大統領の支持率は8ポイントくらい上がり、2位のフロリダ州知事であるデサンティスさんを大きく引き離しています。従って、共和党の予備選においては追い風になるのではないでしょうか。