外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が5月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。5月18日に行われた日米首脳会談について解説した。
日米首脳会談、両国の緊密な連携とG7の結束で一致
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G7広島サミットの開幕を前に岸田総理大臣は5月18日、広島市内のホテルでアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談に臨んだ。日米同盟の一層の強化を図っていくことを確認するとともに、サミットで先進7ヵ国(G7)の揺るぎない結束を世界に示すため、両国が緊密に連携していくことで一致した。
飯田)首脳会談は夕方6時過ぎから、約1時間にわたって行われました。両首脳の会談は1月のワシントン以来であり、「非常に有意義で和やかだった」と同席した政府関係者が話していました。
日米間での課題は「米債務上限問題」について ~G7サミットで議論に
宮家)日米首脳会談は何度も行われていますし、堅調です。発表文を読みましたけれども、サプライズはありません。いつも言うことですが、このような資料を出すときは、書いていないことが大事なのです。
飯田)書いていないことが大事。
宮家)書いてあることは、いままで通りです。グローバル・スタートアップ・キャンパスを東京につくるのはいいことですが、日本社会が変わらなければスタートアップはできないので、それをつくっただけではダメなのです。
飯田)つくるだけでは。
宮家)それから核の傘を含む拡大抑止や、中国の話があって、日韓関係という内容です。しかし、バイデン大統領が広島に来る前のアメリカの政治状況を見ていると、政府の債務不履行問題で、本当に来るのか来ないのかという議論があった。
飯田)ギリギリまでありましたね。
宮家)確かにいろいろな楽観・悲観論があるけれども、本当にデフォルトになってしまった場合、どのぐらい世界経済に影響があるのか。それがサミットで議論されるのだろうと思います。
飯田)米国債がデフォルトになった場合。
宮家)まさにいま詰めているところだと思います。それを除けば、基本的には日米首脳会談は予定どおり、順調に動いているという感じがしました。
注目されるアメリカ経済の今後の行方
飯田)会談に同席した政府関係者の説明によると、3つの大きなポイントがあるという話です。そのうちの3つ目に、「G7サミットに向けたすり合わせ」という表現が使われています。その辺りは債務上限問題など、経済についての話ですか?
宮家)そうです。G7サミットはもともと経済サミットでしたから、今回の声明文を読んでいても、経済の部分は最後の方に出てきています。それはそれでいいと思うのだけれど、最も大きいことは、アメリカ経済がしっかりと進んでいくことだと思うので、関心が高いのではないかという気がします。
現時点でアメリカがTPPに戻ることは難しい ~日本がそれぞれのグループの間でどれだけ調整できるか
飯田)総理からは地域の経済秩序に関して、アメリカにはアジアへもしっかり関与して欲しいと。インド太平洋経済枠組み(IPEF)、あるいは環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について意見交換したということです。
宮家)IPEFもいいのですけれど、本当はTPPに戻ってきて欲しいのです。しかし、バイデンさんは民主党でなかなか反対も強いし、さらに大統領選挙も近づいているわけですから、いまTPPを動かすのは難しいかも知れませんね。残念ですけれど。
飯田)これだけレベルの高い協定であり、そしてイギリスが入ってきた。イギリスが入ってきた作業状況なども説明したようですが、この流れで拡大したい思いがあるのでしょうか?
宮家)そうでしょうね。今回のG7は日本が議長ですけれど、英米カナダ、仏独伊など、いくつかのグループがあります。このなかで、日本がどの程度調整できるかが大事になっていくと思います。
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