米「債務上限問題」合意に至らず それでもデフォルトすることはない
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数量政策学者の高橋洋一が5月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカの債務上限問題について解説した。
米債務上限問題 ~バイデン大統領と野党側の協議、合意に至らず
アメリカ政府の債務上限の引き上げをめぐる、バイデン大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長との今月3度目となる直接協議が5月22日、ホワイトハウスで行われた。マッカーシー氏は会談後、合意には至らなかったと明かした。米財務省の資金繰りが行き詰まるなどと警告する6月1日まで残り10日ほどとなるなか、継続協議で妥協案を探る。
100年近い歴史のなかでこれまでデフォルトしたことはない ~政府機関閉鎖までいくかいかないか
飯田)「合意した項目がない」と説明したそうです。債務上限問題をどうご覧になりますか?
高橋)100年近いアメリカの歴史のなかで100回近い交渉があったので、ここで合意しないというのは、なかなか考えにくいです。これまでもうまくやっているのだから。
飯田)歴史的に見ても。
高橋)もう少し切羽詰まると政府機関閉鎖になるかも知れませんが、「政府機関閉鎖までいくかいかないか」という状況ではないでしょうか。閉鎖までいっても、デフォルトにはならないと思いますが。
政府機関閉鎖になると「なぜそこまでやるのか」と共和党が不利になってしまう
高橋)それが債務上限問題のポイントです。政府機関が閉鎖されると、「なぜ閉鎖するのか」と共和党の方が不利になってしまうのですよ。
飯田)「ここまで追い込んで大人げない」と世論が変わってくる。
高橋)そういう流れを見ながら、ギリギリのところを攻めているのではないでしょうか。
ギリギリのところまで攻めて妥協する可能性が高い
飯田)政府機関閉鎖で思い出されるのは、オバマ政権末期です。当時も共和党が、債務上限もそうだけれど、予算の削減等々もやれというように迫り、最終的に一部機関の閉鎖が行われました。
高橋)政府機関を閉鎖するにしても、国立公園の管理など、国民生活に影響がないようなところからやるのですよ。
飯田)最初は国民生活に影響がないところから。
高橋)そこまでいけばかなり「ガチンコかな」という感じがします。従来の流れから考えて、その先のデフォルトはまずないでしょうけれど、政府機関閉鎖はやるかやらないか。
飯田)政府機関閉鎖を。
高橋)しかし、共和党が不利になってしまう可能性を思うと、「そろそろ妥結するかも知れないな」という感じがします。
飯田)この辺りで「勘弁しておいてやる」と。
クレジット・デフォルト・スワップではレートが上がっている
飯田)マーケットもいまのところは「あと1週間あるし、どこかで解決するでしょう」という雰囲気です。
高橋)それでも、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、少しレートが高くなっています。通常は20ベーシスくらいですが、60ベーシスまで上がっていますからね。それなりに「大変だ」と思う人はいるのです。
飯田)少しずつ増えている。
高橋)そういう人たちは「一発賭けている」と言えば賭けているのです。
飯田)危機の方に転んでしまえば、逆に大儲けできる。
高橋)そういうゲームでもあります。
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