経済においては中国を完全に無視できない 完全禁輸ではない先端半導体輸出規制

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数量政策学者の高橋洋一が5月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。経済産業省が発表した外為法に基づく貨物等省令の改正について解説した。

経済においては中国を完全に無視できない 完全禁輸ではない先端半導体輸出規制

中国の習近平国家主席(ロシア・モスクワ)=2022年12月30日 EPA=時事 写真提供:時事通信

半導体の製造装置をつくれるのは日本・アメリカ・オランダくらい

経済産業省は5月23日、先端半導体分野23品目の輸出規制を強化する外為法の省令を改正し、7月23日に施行すると発表した。軍事転用できる先端半導体を中国が製造するのを防ぐ狙いがある。

飯田)先端半導体の製造装置などについて、アメリカは既に対中輸出を厳しくしていますが、日本も足並みを揃えることになるのですか?

高橋)製造装置については、ほとんど日本とアメリカとオランダしかつくっていません。だからそこを閉めてしまうと、実は韓国や台湾も悲鳴を上げてしまうのです。

飯田)製造装置の輸出を閉めると。

高橋)そういう意味で、まだ日本も捨てたものではありません。なぜ日本に製造装置のアドバンテージがあったかと言うと、基本的に写真機と似た技術があるからです。カメラの技術を持っているのでアドバンテージがあるのです。

半導体をつくれない中国はコンピューターに古いCPUを搭載 ~中国での半導体の内製化は難しい

飯田)今年(2023年)初めに行われた日米首脳会談のなかでも、「製造装置を何とかしろ」ということは言われていました。

高橋)それを押さえれば、少なくとも対中政策にはいいですよね。いま中国は半導体をつくれないので大変です。コンピューターを構成するCPUというデバイスがあります。我々はインテルの最新鋭の製品が簡単に買えますが、中国では買えないらしく、密輸しているとも言われています。

飯田)最新のCPUが手に入らず。

高橋)先日、中国で開発されたというものを見たら、古い世代のものを少し直しているだけで、本当に開発しているかどうか怪しいですね。

飯田)「内製化する」という大号令を出していますからね。

高橋)難しいですよね。中国が開発したものを見て、みんな笑っていますよ。「中身は一緒ではないか」と。

経済においては中国を完全に無視できない 完全禁輸ではない先端半導体輸出規制

※画像はイメージです

機微技術の流出防止はするが、完全な禁輸ではない ~経済では中国を完全に無視することはできない

飯田)G7のなかでも経済安全保障に関して、初めて独立したセッションをつくりました。そこでは機微技術の流出防止なども議論されています。

高橋)最先端のものは禁止していますが、古いものは構わないのです。だから、輸出入に占めるウェイトも付加価値が大きい。すべてを禁止するわけではありません。

飯田)経産大臣の事前許可が必要になるという形ですが、完全に禁輸するわけではない。

高橋)それはしないと思います。ケースバイケースで見ていくのではないでしょうか。今回のサミットで発表されたのも、完全なデカップリングのようなわかりやすい禁輸ではありません。いいものは選んで、貿易などは継続していく。そういうところをきっちりしているのです。

飯田)貿易は継続する。

高橋)安全保障では協力できるけれど、経済では完全に中国を無視するのが難しいという国は、ヨーロッパなどでも多いですからね。

飯田)だからデカップリング(分断)ではなく、ディリスキング(リスク回避)を行う。

高橋)そうですね。デカップリングと言うと、「貿易をすべて止めてしまう」と誤解されるからなのでしょう。いままでも貿易を止めるという話ではありません。安全保障は別ですが、経済は是々非々という感じですね。

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