数量政策学者の高橋洋一が5月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。1.8%減となった2022年度の実質賃金について解説した。
2022年度の実質賃金が1.8%減
飯田)毎月勤労統計調査の3月分の結果確報が公表され、2022年度の数字も出てきました。年度で見ると、前年度比マイナス1.8%。額面は伸びたけれども、物価がさらに伸びています。
高橋)インフレ率が高くなっているのでね。ただ、いまの月期状況を伸ばせば、少しすると額面の方がインフレ率より高くなるから、実質はプラスになります。もう少し我慢すればいいのだけれど、我慢のしどころで防衛費増額の財源確保法案として増税が出てくると、難しいことになりますね。
内需はよくなっている ~安倍・菅政権で出したコロナ対策100兆円の効果がここへきてあらわれている
飯田)足元の景気に関して、3月~4月の消費者物価指数を見ると、エネルギーを引いた数字の方が高い伸びになっています。少しずつ内需もよくなっているのですか?
高橋)内需はよくなっています。やはり安倍・菅政権で100兆円も出しましたから。
飯田)コロナ対策として。
高橋)コロナ対策でお金をたくさん出した国ほど、あまり落ち込んでいないのです。効果は少しずつ出てきていると思います。みんな「無駄遣いした」と言いますが、無駄遣いでも有効需要の原理から考えれば景気対策にはなります。
飯田)すぐには効果が出てこなかったけれども、いま少しずつ出てきているのですか?
高橋)本当はもう少し上手く執行すると、もっと早く出ているはずだったのだけれど、それが少しズレているのだと思います。
ここで景気対策を打てば本格的に経済に火がつく ~増税すれば反対に水をかけることに
飯田)コロナ禍で使えなくなってしまったお金が、一旦は貯金になったけれども、「ペントアップ需要」として出てきている。
高橋)もちろんそれもありますが、財政支出がそれを下支えしている状況です。ここでうまく景気対策を行えば本当に火がつくのですが、逆に増税となれば、水をかける政策になりますね。
アメリカはインフレでも失業率が低いので悪い状況ではない
飯田)欧米などは「ドーン」と出し、一気に需要が出たので、「それがインフレにつながったのではないか」と批判する人もいますが、日本の場合は違いますか?
高橋)多少インフレになってもいいのです。そのうち失業率が下がり、賃金が上がっていけば問題ありません。アメリカがインフレだと言いますが、失業率は低いですからね。経済から見ると悪い状態ではありません。よくないのは失業率が高くなって、無職の人が路頭に迷うことです。
飯田)最近パウエルさんが利下げどころか、「次も利上げするかも知れない」というようなことを言い出したのは、失業率が安定していて……。
高橋)本当に過熱していると思いますよ。それはそれで悪くはないのです。インフレ率ばかり報道されますが、失業率も一緒に見ないと経済はわかりません。
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