ジャーナリストの佐々木俊尚が6月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。入管難民法の改正案をめぐって、立憲民主党が提出した斎藤法務大臣への問責決議案について解説した。
入管法改正案をめぐり、立憲民主党が法務大臣への問責決議案を提出
入管難民法の改正案をめぐり、斎藤法務大臣の対応が不十分だとして、立憲民主党は参議院に問責決議案を提出した。外国人の収容や送還のルールを見直す入管法の改正案は6月6日の委員会で採決される予定だったが、見送りとなった。
佐々木)入管法を改正する根拠になっているのが、強制送還されるときに難民申請すると一旦、強制送還が停止されてしまう。強制送還から逃れるために申請を繰り返す外国人がたくさんいるので、改正せざるを得ないということで、説得力のある話です。
飯田)だから改正しなくてはならない。
難民申請を拒否され、異議申し立てをした場合、約3000件を調べているのが1人の参与員であるということも問題
佐々木)一方で立憲民主党などが言っているのは、難民申請したときに、例えば「あなたは難民ではありません」と拒否されたとします。そのあとにもう1回、異議申し立てができます。異議申し立てを行った際、それを調べるのは参与と言われる外部の方々なのですが、その人たちのなかには約4000件のうち、3000件ぐらいを1人で行った方もいると言うのです。
飯田)3000件を1人で。
佐々木)「1人でそんなに調べられるのか」ということです。難民認定について、審査の不透明さが問題なのではないかという指摘もあり、これはこれで説得力があると思います。
国がどのような対応をしているのかを説明する必要がある ~しかし、そこで法務大臣の問責決議案を出すのはいかがなものか
佐々木)国がどういう形で難民申請を引き受け、拒否した場合はそれに対する異議申し立てについて、どういう対応をしているのか。それをきちんと説明する必要があると思います。
飯田)どういう対応をしているのか。
佐々木)とは言え、その問題については「透明性を確保し、ファクトを出してください」という話であって、いきなり法務大臣の問責決議案を出すというのは、手法としてどうなのだろうかと思います。
採決を防ぐための問責決議案提出は国民の理解を得られない
佐々木)国会の採決を防ぐために問責決議案を出す手法は、いままで何度も行われているわけです。そんなものは通らないとわかっているのに、「一応やるだけやっておくか」というような立憲民主党側の考え方がある。
飯田)時間を稼ぐために。
佐々木)これについては、国民民主党の玉木さんも「改正案の成立を少しでも遅らせる効果を狙っていると思うけれど、国会の会期末に年中行事のような形でやることは、国民の理解を得られなくなっている気がする」と批判しています。
飯田)延長がなければ21日が会期末なので、あと2週間を切っている。
佐々木)審議の日程を遅らせる、「可決させない」ためだけに出される問責決議案というのは、完全に有名無実なわけで、それは国会における議論を否定していることにもなります。そのために仕方なく「強行採決」のようになってしまうと、今度は「自民党は民主主義を否定している」と騒ぐのだけれど。
強行採決に至らざるを得ない行為 ~与野党が歩み寄って議論する姿勢を示すべき
佐々木)前段として強行採決に至らざるを得ない、「議論そのものを拒否する」ような行為も野党側にはあるわけです。与野党の両方が、ともに歩み寄って議論する姿勢を示さなければいけません。
飯田)そうですね。
佐々木)国会で「引っ張る、引っ張らない」ということをやり続けている限り、有権者の信頼を失うだけだと思います。
飯田)結局、間の落としどころへ向かわず、どちらかに振られてしまう。「それが解決になるのか」というところですよね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。