元大阪府知事・大阪市長で元日本維新の会代表の松井一郎氏が6月12日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。公明党が現在議席を保有する大阪の4つの小選挙区に日本維新の会が次期衆院選で候補を擁立した際の勝算について、「そんなに甘いもんじゃない」と指摘した。
4月6日の大阪市長の任期満了をもって政界から引退した松井一郎氏は、自身の著書などを通じて政治家に必要な資質は「喧嘩力だ」と主張している。20年に及ぶ政治家人生を終え、ポピュリズム(大衆迎合主義)が指摘される岸田政権や今の政治家について、どのように見ているのか-。
辛坊)日本維新の会は、議員の定数削減や給与削減、退職金撤廃など、かなりとがった施策を掲げていました。党勢を増すにしたがい、そうした最初の志を保てるものなのでしょうか。党勢を増すには、さまざまな考え方の人も取り込まなければならず、松井さんが当初に目指した政治集団の精神は、だんだん崩れていく恐れもあるのではないですか。
松井)そうなれば、維新はおそらく終わります。僕は自民党出身ですから、政治理念・信条は自民に近いです。しかし、世襲議員のほとんどは自民のため、自民が議員改革を進めることは難しいから、自民を出て維新をつくりました。
維新が自民と最も異なる点は、改革の志です。ですから、改革の志を失うと、維新は「自民もどき」の政党になってしまいます。世の中の人は、そんな「もどき」を必要としませんよ。結党の際のアイデンティティーを現在の代表である馬場伸幸さんが、いかに維持できるかにかかっているといえます。
辛坊)松井さんは現在、維新の運営に関わっているのですか。例えば、次期衆院選で公明党が大阪で議席を持っている4つの小選挙区に維新が候補を立てるか立てないかについて、松井さんが意見を言うことはあるのでしょうか。
松井)いいえ。僕は政界を引退して維新からは離れましたから、執行部からの相談にも応じていません。
辛坊)でも、情報は入ってくるでしょう。この4つの小選挙区に、維新は候補を立てると思いますか。
松井)それについては、馬場さんが既に、公明党さんとの付き合い方をリセットすると公言しています。かつて僕の時代には、公明党さんに譲る理由がありました。大阪市議会で維新が過半数の議席を持たない状況の中では、公明党さんには「大阪都構想」に協力してもらう必要があったためです。しかし、現在は譲る理由が全くありません。ですから、馬場さんとしてもやらざるを得ない(候補を立てざるを得ない)のではないかと思います。
辛坊)この4つの小選挙区に維新が候補を立てたら、当選できますか。
松井)それは厳しいですよ。公明党さんも長年の連立与党の立場で、ずっと勝ってきたわけですからね。ちまたでは「候補を立てたら勝てる」と言われているようですが、そんな甘いもんではないです。
辛坊)ただ、候補しだいですよね。
松井)そうですね。有権者の大きな判断基準になりますからね。
辛坊)よし、こうしましょう。この4つの小選挙区のうち最も厳しそうな選挙区に、松井さんが出ましょう。
松井)いや、辛坊さんが出ましょう。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)