「都市部で多くの餓死者」北朝鮮の食糧不足の深刻さ 専門家が解説
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朝鮮半島の情勢に詳しい龍谷大学社会学部教授の李相哲氏が6月12日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。北朝鮮の最新情勢について、「都市部で多くの餓死者が出ている」と解説した。
北朝鮮が「衛星を打ち上げる」と予告していた期限が11日午前零時で終了したが、アメリカの北朝鮮分析サイト「38ノース」は「北西部にあるミサイル関連施設で次の発射につながる新たな動きを確認した」と報告した。2回目の発射の可能性を受け、浜田靖一防衛相は破壊措置命令の延長を命じたが、今後の展開について専門家はどのような点に注目するのか-。
辛坊)北朝鮮の飢餓は現在、どのような状態なのでしょうか。
李)北朝鮮と海外の間で交わされている電話などから、食糧不足の一端が分かります。例えば、北朝鮮から海外にいる親戚や脱北者に対し、欲しい物を伝える際のしゃべり方から、逼迫の度合いが分かるのです。最近では公の報道によって、都市部で多くの餓死者が出ていることが伝えられています。
辛坊)都市部で、ですか。
李)トウモロコシの値段が何倍も跳ね上がっているのです。トウモロコシの値段はコメよりはるかに安いため、皆がトウモロコシを買おうと殺到します。しかし、供給量が少なく、さらに値段が高騰しているため、手に入りにくい状態です。これが、北朝鮮の食糧難が深刻であるという1つの指標になっています。
辛坊)なるほど。
李)北朝鮮の都市部には、在外中国人である華僑も暮らしています。北朝鮮の華僑は裕福と思われているのですが、その華僑が飢え死にしたというニュースもありますから、飢餓状態はかなり深刻だといわれています。
辛坊)今の話を総合すると、北朝鮮は飢餓状態がかなり厳しいにもかかわらず、軍事衛星の打ち上げに莫大な費用を投じたということですね。
李)韓国の発表では、5月31日の北朝鮮による「軍事偵察衛星」と称する飛翔体の打ち上げにかかった費用は、北朝鮮の国民約2500万人全員が10カ月食べられるコメが買える金額に相当するとされています。それだけのお金を使って発射したものの、失敗しました。北朝鮮は馬鹿げたことをやっています。
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辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)