北朝鮮が激怒した散布ビラ その“タブー”内容とは~辛坊治郎が解説
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キャスターの辛坊治郎氏が6月25日(木)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!~激論Rock&Go!」に出演。韓国の脱北者団体の北朝鮮批判の散布ビラについて解説した。
急な動きを見せている北朝鮮
辛坊)北朝鮮はこの数ヵ月間本当に動きが急なのです。ひとつは韓国側がビラ撒きの風船をあげたりしたことへの反応。でも、以前からからよくあげたりしていたんですけどね。
飯田浩司アナウンサー)ここ1~2週間の北朝鮮の動きですが、韓国との間の連絡線を切断した。南北の連絡事務所のビルを爆破し、その映像を出した。24日あたりに中央軍事委員会というものを開いて、下のほうから「こんなオプションがあります」と、38度線の非武装地帯軍を前に出す、北朝鮮側もビラを飛ばすなど、オプションを出しました。しかし、それを金正恩委員長は保留した、ということがニュースで出てきています。
キーウーマン 金与正氏
辛坊)やはりキーウーマンは金与正。金正恩氏の妹ですね。どうも金与正氏がリードして「軍事オプションが4つくらいあるぞ」と言ったことに対して金正恩氏が保留にした、というニュースなのですが、これを伝える新聞も面白いです。本当に金正恩氏がそれを決めた会合にいたのかどうかはわからない。けれども一応「北朝鮮の発表では金正恩が決めたと発表してますよ」というニュアンスで伝えた新聞もある。「金正恩がその場にいて決めたのだ」ということを断定している日本の新聞もある。北朝鮮発の大本営発表のようなものをどこまで信じるのかというなかで、それをまったく信じる形でその発表に関して一切疑いなく「金正恩委員長が決めた」とい書いた新聞が24日から25日の朝にかけてありました。そうではない新聞は「そういう会合が行われて、どうも金正恩氏が、軍事オプションのようなものを含め4つくらい提案があるようなものは、いまのところ保留にしましたという会議が行われて、その場に金正恩がいたと発表されていますが、本当にいたのかどうかはわかりません」と。おそらくこちらのほうが今の段階では真相に近いという。つまり金正恩氏の動向というのは断片的には伝えられて写真が出てきて「どこかの視察に行きました」というのはありますが本当に健康状態が執務に耐えられるような状況なのかはわからない。
執務に耐えられるという状況という見方によれば、爆破を主導したのが金与正氏で、ある意味悪役・ヒールの役割ををしていて、金正恩氏がなだめに回っていると。外に向けて、悪役と国際関係をきちんとしようという姿勢も両方あると見せながら外交交渉を行うカードにしているのでは、というのがひとつの一般的な見方です。
もうひとつは、金正恩氏が執務をできるような状況ではなく金与正氏が着々と権力継承に向けて動いていると。(金与正氏は)軍歴がないので何か大きなことを行わなければならない。金正恩体制に変わったときにいちばん最初に行ったとことで延坪(ヨンビョン)島砲撃事件というのがありました。「軍を掌握していてこれだけのことをやらせる権限があります」というようなことを内外に広くアピールするために砲撃した。今回は金与正氏が継承するに際して、連絡事務所の爆破というのは彼女が主導して行わせて4つの軍事オプションも含めて発表したのではないか、というような見方もあります。飯田さんはどう思います。
飯田)これは専門家でも考えがばらついていますね。金正恩氏は健康的には問題がないと。金与正氏も補佐のような形で行っていくという話もある。専門家のなかにはもう危篤であるだとかすでに影武者なのではという話もある。
辛坊)あれだけよく似た影武者はいませんよね。
飯田)写真を並べて出てきた時と顔が違うということもある。
北朝鮮の“タブー”に触れた散布ビラ
辛坊)北朝鮮がなぜあのビラで怒ったのかというと、北朝鮮の国内的には一切タブーである金正恩氏の母親というのが、在日朝鮮人で大阪のご出身といわれています。そうなると朝鮮半島というのはもともと儒教の精神が日本以上に強いところですので、家長制度であるだとか、男子、長子が優先であるというのが強いなかで、血統といったものが非常に重視される。なおかつ朝鮮戦争で、当時北朝鮮が突然なだれ込んできて戦争がはじまり、最後38度線で休戦協定ができたときに10万人くらい北朝鮮に拉致されていて、その後みな行方知らずなのです。日本でその後、帰国事業というのが一部の新聞、団体などが主導をして「北朝鮮出身のみなさんは北朝鮮に帰ったほうがよいですよ。天国、夢の国ですから」と大量の人たちを帰したのですが、日本で生まれ育ったというだけでひどい差別にあい、ほぼ皆さん音信不通。かわいそうなのは日本人妻といって日本出身なのですが北朝鮮出身の方と結婚していたということで北朝鮮に帰った人も大半が音信不通。日本はそうやってニュースになりますが、韓国は本来は10万人も行方知らずなので韓国政府は力を入れて交渉を、という話なのに、文在寅政権はまったく何か行う様子がない。国内でも不満が高まってもよいと思うのですが不思議ですね。
飯田)アメリカも振り向かない、韓国とも仲が悪いし、ロシアや中国も何もしないとなったら日本にこうしたときに求めてきそうですね。
辛坊)今回一つの読みとしては例の連絡事務所を爆破したことで文在寅のメンツをつぶしました。つぎに何を考えるかというと、トランプ大統領のメンツをつぶすぞという圧力になる。「核実験をするぞ」「ミサイルを発射するぞ」「そうするとトランプ大統領は選挙で困るだろう」「だから交渉のテーブルに乗れよ」というプレッシャーをかけるために、今回の連絡事務所の爆破というのは、ひとつのツールとしては使えると判断したかもしれません。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)