キャスターの辛坊治郎が6月21日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。1912年に大西洋で沈没したイギリスの豪華客船タイタニック号の残骸を海中で見る観光ツアーで18日朝(日本時間同日夕)から行方不明になっている潜水艇の捜索と救助について、「かなり厳しい状況にある」と解説した。
111年前に大西洋で沈没した豪華客船タイタニック号を海底まで見に行く観光用の潜水艇が消息を絶ち、アメリカとカナダの沿岸警備隊などが捜索と救助にあたっている。潜水艇は18日から消息を絶ち、乗っていた5人が行方不明になっている。日本時間の21日午前2時に記者会見したアメリカ沿岸警備隊は、残る酸素の量について「40時間から41時間程度だ」と明らかにした。観光用の潜水艇は全長6.7メートル、重さ10トン余りで、最大で水深4000メートルまで潜ることが可能だとしている。このツアーの料金は1人当たり25万ドル(日本円で約3500万円)。今回、イギリスの実業家やパキスタンの財閥の親子らが参加していた。
辛坊)この潜水艇はモーターを使って水深4000メートルを潜水、浮上する能力はありません。重りを使ってゆっくりと沈んでいき、タイタニック号の残骸の近くに到達したら、今度はモーターの力で中性浮力をとりながら、残骸の周辺を動き回るという段取りでした。
私は、潜水艇が海面に浮上している可能性もあると思っています。ただし、この潜水艇は内部からハッチを開けて外に出られる構造にはなっておらず、外部からしか開けられないそうです。また、洋上の母船との連絡手段も閉ざされている状況です。そうなると、たとえ海面を漂っていたとしても、酸素の残量がなくなった時点でタイムアウトになってしまいます。ですから、現状で海中、海底に沈んでいようが、海面に浮上していようが、酸素が残っている間に発見してあげないと、生命の危機がかなり高まるということです。
潜水艇の母船との連絡手段は音響通信でした。しかし、潜水して約1時間45分後に連絡が取れなくなりました。連絡が遮断したということは、やはり電気系統の問題なのではないかと思われます。緊急浮上装置は電気で動くものが大半ですが、この潜水艇はバックアップとして電源が全て落ちても浮上できる装置を積んでいたのではないでしょうか。そうすると最初に申し上げた疑問に戻ります。海面に浮上しているのに、発見してもらえないという可能性です。
一方、海中、海底に沈んでいるということになると、水深4000メートルの深海までたどり着き、そこでハッチを開けて人を外に出すわけにはいかず、潜水艇ごと海面に引き揚げなければなりません。しかし、重さ10トン余りもある潜水艇を海面まで引き揚げることは、相当に困難です。残念ながら、現状では捜索、救助はかなり厳しい状況にあると言わざるを得ません。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)