G20エネルギー相会合で共同声明が出せなかった「3つの理由」

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。インドで開かれたG20エネルギー相会合について解説した。

G20エネルギー相会合で共同声明が出せなかった「3つの理由」

インド南部ゴア州パナジで22日に開かれた20カ国・地域(G20)エネルギー相会合[インド政府提供]=2023年7月22日 写真提供:時事通信

G20エネルギー相会合 ~化石燃料低減で一致できず、共同声明見送り

飯田)7月22日に20ヵ国・地域(G20)エネルギー相会合がインドで行われましたが、共同声明の採択は見送られました。

宮家)予想通りでしたね。G20、あるいはG7もそうですが、どちらも最初は経済首脳会合でした。しかし、G7の場合は意見が一致するところが多いので、政治的な分野も議論するようになっていったのですが、G20は基本的に経済だけですよね。

中露が入っているのでまとまるものもまとまらない ~バランスを取ろうとするインド

宮家)ですので、G20で政治的に機微な共同声明を出すことは、そもそも難しいのです。第2に、G20には中国とロシアが入っています。この人たちが入ってきた場合、まとまるものもまとまりませんよ。

飯田)そうですよね。

宮家)第3に、今回はインドが議長国ですよね。インドはこういうとき、積極的特定の方向に進めようとはせず、必ずバランスを取ります。インドが議長だからダメだという意味ではなく、インドがバランスを取ろうとする限りは、文書はまとまらないだろうと思います。

エネルギー会合なのでウクライナのことを議論するわけにはいかない

宮家)まあ今回はエネルギー大臣会合なので、あまり政治的に機微な話、例えば、戦争やウクライナのことを議論するわけにもいかず、ある程度仕方がない気もします。その意味では一定の成果はあったと思います。

飯田)CO2や再生可能エネルギーなどの話もありますよね。

宮家)それが本来、エネルギー大臣間で議論するべきことなのですが、みんな期待値が高過ぎるのです。共同声明でウクライナを支援したり、もしくはロシアを非難するような内容が出るはずはありませんよ。

9月開催予定のG20首脳会合にプーチン大統領の対面での出席はないか ~8月開催のBRICS首脳会議にはオンラインで参加

飯田)先に行われたG20財務大臣・中央銀行総裁会議でも、リアルに来なかった国もかなりあったと報じられていました。

宮家)やはりインドだからということではないのですが、あれだけウクライナ戦争がもつれ、結論が出そうな状況ではないときに議論しても、「会議は踊る」だけだと思います。せっかく開かれるのに残念ですけれどね。

飯田)この先を考えると、9月にはG20首脳会合も開かれます。

宮家)それも大体見当はつきますよね。エネルギー大臣のレベルでまとまらないものが、首脳会合でまとまるわけがない。そもそもプーチンさんは出席するのでしょうか。

飯田)そうですよね。8月に開かれる新興5ヵ国(BRICS)の首脳会議にも対面では欠席し、オンラインで参加するようです。

宮家)下手をしたら逮捕されてしまいますしね。

飯田)国際刑事裁判所から指名手配されていますものね。

宮家)そのような理由からなのかはわかりませんが、南アフリカで開かれるBRICSにプーチンさんはリモートで参加、その上でプーチンさんはインドに出ていくのでしょうかね。そうなると、首脳会合の結果はかなり前から見えているのかなと思います。

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