数量政策学者の高橋洋一とジャーナリストの須田慎一郎が8月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。労働組合がストライキの実施を会社側に通知することになったそごう・西武の売却について解説した。
そごう・西武の労働組合がストライキ実施を通知
百貨店そごう・西武の売却をめぐり、そごう・西武の労働組合はストライキ実施を会社側に通知した。労使間で協議を続けるが、決裂した場合は8月31日、西武池袋本店で終日ストを実施する予定。
飯田)親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、アメリカの投資ファンドへの売却を計画しており、雇用維持を求める労働組合側が反発しています。
ドライな経営方針の「そごう・西武」親会社のセブン&アイ・ホールディングス ~百貨店事業というビジネスモデルに合わなかった
須田)百貨店の雇用維持を求める動きが非常に古臭く、「昭和の香りが漂う」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、セブン&アイ・ホールディングスは非常にドライな経営なのです。もともと、イトーヨーカドーとセブンイレブンで、いまはセブンイレブンが中心になっていますが、極めてドライな経営で、そごう・西武を買って、百貨店事業に乗り出しました。しかし、ビジネスにならないと考えたらいきなり売却を検討する。その対応が、百貨店というビジネスモデルに対して、合わなかったのではないでしょうか。
飯田)内部の人に話を聞いても、企業文化も相当違うのですよね。
須田)違います。なぜ買ったのかと言うと、流通業界は百貨店・デパートを持っていることが1つの勲章になるのです。
ビックカメラもヤマダ電機も出店している池袋 ~ヨドバシカメラが来ても違和感はないか
飯田)箔付けになるのですね。しかし、買われた方の人たちには、それぞれの人生もあるわけです。当然、「私たちは勲章ではないのだから」と思いますよね。
高橋)私は池袋に住んでいますが、東は西武で西に東武というところです。西武はなくなってしまうかも知れませんが、以前は「東京丸物」という百貨店があり、それがパルコになった。三越もあったのですが、いまはヤマダ電機になっています。その前はビックカメラでしょう。今回はそごう・西武をフォートレス・インベストメント・グループに売却し、フォートレスが提携しているヨドバシを出店させるということですよね。
飯田)そんな話が出ていますね。
高橋)家電量販店がたくさんあり、私としては、違和感はありません。三越がなくなるときは大騒ぎもありませんでした。久しぶりにストが行われたとしても、何の支障もないと思います。
かつての百貨店の役割を担う家電量販店 ~何でも売っている
須田)豊島区を中心に、地元の方々がヨドバシカメラの出店に対して相当、抵抗しているではないですか。それはどう見ていますか?
高橋)私は気になりません。ビックカメラもヤマダ電機もあるのですから、そこにヨドバシが来ても「そうか」という感じです。いまは家電量販店が百貨店のような役割で、何でも売っています。「ビックカメラ」と言っても、カメラだけを売っているわけではありません。
飯田)ニッポン放送がある有楽町でも、昔はそごうだった建物が、いまはビックカメラになっています。
高橋)何でも売っているでしょう?
須田)自転車もおもちゃも売っている。
高橋)従来のイメージと違うのですよ。
終焉しつつある「百貨店ビジネスモデル」
飯田)時代が移り変わっているところもあるのでしょうか?
須田)「百貨店ビジネスモデル」というのは、もはや終焉しつつあるのだと思います。
飯田)ある意味で幕の内弁当のようなものは、やはり時代とともに……というところがあるのでしょうか。
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