数量政策学者の高橋洋一が8月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。支持率が下がる岸田内閣の今後について解説した。
自民党・茂木幹事長、東京の自公相互推薦に期待
自民党の茂木幹事長は8月22日の記者会見で、公明党の山口代表が次期衆院選の東京都内での自公間の相互推薦に柔軟な姿勢を示したことを受け、「こちらからも積極的にいろいろな提案を行いたい。東京も含め全国レベルでさらなる協力関係の強化を図っていきたい」と述べた。
飯田)山口代表も「歓迎したい」と語っています。ここへ来て、急に態度が軟化している感じもありますね。
高橋)本当に解散できるのでしょうか。これだけ自民党の支持率が下がっていると、解散も難しくなっていると思います。今回、処理水や物価対策の話があり、9月には大型補正も行うのではないでしょうか。
飯田)そのような記事が出ていますよね。ガソリン高対策も含めて……。
高橋)それで解散を狙えればいいと思うのですが、どうなのでしょうか。
飯田)少し前まで言われていたのは、9月の終わりくらいから臨時国会があり、そこで解散するという話でした。気の早い人は冒頭に解散があり、10月末には衆議院議員の任期が残り2年になるため、その辺りで投開票があるのではないかなどとも言われています。
高橋)これだけ支持率が下がっていると、やりにくいでしょうね。
「青木率」では、「政権がもたない」とされる数字の岸田政権 ~岸田下ろしが起きても不思議ではないレベル
飯田)来年(2024年)は、岸田総理の自民党総裁としての任期がきますね。
高橋)解散できないとなると、下ろされる確率が高いです。青木率というものがあります。政権支持率と自民党支持率を足し算して、50ポイントを下回れば、いまの政権はもたないと言われるものです。さまざまな数字があるのですが、いまは50~60の間なのです。
飯田)青木率は「青木の法則」などと言われる、青木幹雄さんが唱えたとされる指標です。
高橋)これはかなり悪い数字で、安倍政権、菅政権の末期と一緒です。
飯田)50を切ってくると、選挙をしたら負けると言われる数字ですね。
高橋)いまは(安倍・菅政権の)末期と一緒ですので、岸田下ろしが起こっても不思議ではないというレベルです。
安倍派が集団指導体制を取ったことで、岸田氏はやりやすくなった
飯田)6月辺りには「解散か」という大きな風が吹きましたが。
高橋)あのとき解散しておけばよかったのです。
飯田)そう考えると、様相が変わってきましたね。
高橋)あそこで解散していれば、それほど大きく負けなかったでしょう。今回、大きく負けるとしたら、政権交代もあり得るレベルになっています。
飯田)いまは岸田政権の周りを、麻生派や茂木派といった人たちが支えていますが。
高橋)「やめておけ」という話になります。そして、次に岸田下ろしが起きます。
飯田)数の上では、いちばん人数が多いのは安倍派(清和会)ですね。ただ、ここはトップを決められずに集団指導体制を取っています。
高橋)岸田さんは楽でしょうね。ここが「解散しろ」とくるか、「下ろし」でくるか。どちらにしても固まっていたら大変ですが、それがないから楽だと思います。
飯田)集団指導体制は、裏を返せばトップ不在でバラバラに近いのですか?
高橋)バラバラに近いです。戦ったときに分裂するかも知れないと思われているのは、力がないからでしょうね。
飯田)岸田さんに対して「戦うぞ」という人と、「やめておけ」という人がバラバラになっている。手を突っ込みやすいということですね。
高橋)第1派閥ですが、その威力がなく、第4派閥の岸田さんが楽になっている感じはします。
政治家としては「控えめすぎる」萩生田氏
飯田)塩谷立さんが座長になる形で集団指導体制を取っていますが、将来的にリーダーシップを発揮する人は出てくるのでしょうか?
高橋)本来であれば、萩生田さんが担わなくてはいけないのです。安倍さんは昔、萩生田さんについて「自己評価が低い」という言い方をしていました。
飯田)自己評価が低い。
高橋)政治家としては珍しいのですが、萩生田さんはとても控えめな方なので、「控えめすぎる」という意味です。
飯田)政治家というと、「俺が俺が」というようなイメージがありますよね。
高橋)みんな「俺が俺が」なのに、萩生田さんはごく普通の方です。普通だから相対的に控えめに見えてしまう。
飯田)でも、面倒見がよく、実務能力が高いので仕事ができる人だという評判もありますよね。
高橋)それを必要以上に大きく見せるのが普通だけれど、大きく見せませんからね。
飯田)「あれも俺がやったんだ、これも俺がやったんだ」と……。
高橋)そういう人ではありません。控えめすぎて、「政治家としてどうなのか」と言う人もいます。
木原誠二官房副長官や森まさこ首相補佐官はどうするのか ~党役員人事と内閣改造
飯田)この先、臨時国会の前に、党役員人事と内閣改造があると言われていますが。
高橋)やらざるを得ないでしょう。木原さんはどうするのでしょうかね。
飯田)官房副長官の木原誠二さんですね。週刊文春では、奥さんの元夫に関する死亡報道がありました。
高橋)今回、首相訪米に同行していますからね。やはり、いないと困るのでしょう。森まさこさんもそうですが、最近自民党の人は説明しませんね。
飯田)森まさこさんは、ウエディング(ブライダル補助金)に関して……。
高橋)最近は「ブライダルまさこ」などと言われています。
飯田)少子化対策としていますが、一方ではインバウンドの一環だと言われています。
高橋)名目は完全にインバウンドです。少子化対策は関係ないですね。
飯田)関係ないのですね。
高橋)補助金としては関係ありません。お金をもらってしまい、少しズレがあるので贈収賄とは違うという言い逃れはできると思いますが、そのあと補佐官になってもやっていたのですから、まずいですよね。
飯田)職務権限があり、関連業界からお金をもらっているとなれば、それはちょっと……。
高橋)そうですね。ただ、補佐官になる少し前でしたので、ほんの少しですが、きわどいですよね。でも、補佐官になってもずっと続けていたのは間違いない。検察の人も興味を持つのではないでしょうか。地検の人などは。
飯田)なるほど。
高橋)企業からの寄附額は100万円なので、金額は小さいと言えば小さいのですが、強く総理に働きかけたということになると、職務権限が関係する話です。その前後のお金でも、贈収賄はあり得るのかなというような気もします。政治倫理的には完全にアウトです。お金をもらって政策を進めてはいけませんよ。
飯田)政治とお金の問題は、再生可能エネルギーの話でも出ていますね。
高橋)国会質問でそうなったわけでしょう。普通なら、公務員ではないから職務権限はなく、国会議員はオッケーだというのが、いままでの理解でした。しかし、リクルート事件のときから国会質問はダメだということになり、だんだんと職務権限は広がっていますよね。
幹事長のポストはどうなるのか
飯田)さまざまなスキャンダルなどが出てきており、それを払拭するために改造を行うのでしょうか?
高橋)そうでしょうね。木原さんや森さんはどうするのか。官邸人事ですので、総理の一言で簡単にできます。変えなかったら「変えない」という意味もあり、変えるということになると、人心一新になるのでしょうね。
飯田)幹事長のポストについても噂されています。
高橋)どうするのでしょうかね。
飯田)茂木敏充さん。
高橋)茂木さんは自公関連について、一生懸命やっているのでしょうか。表向きには「やっている」と言うのですが、わからないですよね。本来、幹事長は表向きには何も言わず、裏できちんと動くのですが。
飯田)党のナンバー2と言われていますね。
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