中国経済の「危うさ」 今後、銀行が破綻する可能性も

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ジャーナリストの有本香が8月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2ヵ月ぶりに利下げした中国経済について解説した。

中国経済の「危うさ」 今後、銀行が破綻する可能性も

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信

中国が利下げ ~景気鈍化受け追加緩和

飯田)中国人民銀行は8月21日、事実上の政策金利と位置付ける「ローンプライムレート(貸出基礎金利)」の1年物を0.1%引き下げ、3.45%としました。各国ではどちらかと言うと利上げをしているなか、中国は利下げしています。経済が相当、弱っているのでしょうか?

有本)そうですね。最近は小刻みに動いています。効果もあまり期待できそうにないので、かなり手詰まり感があるのでしょうね。ここまでコロナ後の戻りが悪いというのは、私たちのように「中国経済は悪い」と言ってきたような人間でも、少し予想できないくらい深刻です。

飯田)「ここまでか」という感じがありますか?

不動産大手企業が何社も苦境に追い込まれている中国

飯田)中国経済に関するニュースでは、不動産の大手会社が何社も苦境に追い込まれています。

有本)恒大グループに関しては2年前からそのような報道がありました。ここに来て、他の大手も危険な状況ですよね。

飯田)不動産最大手の碧桂園も厳しいようです。

有本)「中国の経済はいい」と言われているときも、不動産開発を行い、地方政府が土地の使用権を売ることで財源を確保し、それを開発することで、ある意味のバブルをつくり出してきた。それがまったく立ち行かなくなってきています。

飯田)海外からの投資を呼び込んでいましたが、最近は相当細ってきているとも言われます。そうすると回らなくなってしまう。

有本)中国経済の場合、個人消費はもともと弱いので厳しいのです。

デフレ状態になり、雇用状況も悪い

有本)以前、中国出身の石平さんと一緒に本を出したことがあります。もう14年~15年くらい前なのですが、『不動産国家・中国の行方』という書籍でした。

飯田)石平さんと。

有本)いま言ったように、地方政府がデベロッパーにデベロップさせることで引っ張っている。しかし、個人消費はまったく追いついていません。もし仮に中国経済がダメになることがあれば、「バブル崩壊、あるいはインフレが行き過ぎた状態かも知れない」と言っていたのですが、いまはインフレではなく、デフレ状況になっているのですよね。こうなると救いようがないでしょう。雇用関係も悪いですし。

飯田)若者の失業率を発表しなくなりました。20%くらいまでは発表していたのですが。

有本)あれも甘い数字ですよね。実際はその倍くらいだと思います。

飯田)1週間に1時間か2時間働けば、就業者にカウントされるというようなことが当時も言われていました。

利下げになり、銀行が危なくなる可能性も ~公共工事も中断し、失業者がさらに増える

有本)今後は銀行がもたなくなる可能性があります。

飯田)銀行に相当、公的な資金が注入されていると言われています。

有本)銀行の利ザヤも相当縮小していると思うので、厳しいでしょうね。

飯田)利下げすることになると、当然ながら、銀行の収益部分は圧迫されますよね。

有本)いまも大変なのに……ということです。公共工事も中断しているので、さらに失業者が増えます。本当に大変な状況だと思います。

日本の年金積立金を運用しているGPIFの投資先リストにある「恒大」と「碧桂園」

有本)日本の年金は、基本的にはGPIFが株と債券で運営しているのですが、外国株もかなりの額を運用しています。GPIFが公表している投資先リストは全部当たりました。

飯田)GPIFが公表している投資先リスト。

有本)中国株にも相当投資しているのですが、いま問題になっている恒大は2022年末の段階で、その前年よりは減らしています。その前年にかなり危ない状況にあったので大分減らしてはいるのですが、まだ入れていますね。

飯田)恒大も入っているのですね。

有本)碧桂園も入っています。

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