原発処理水を「大問題化」させた「失政」の1つは、騒ぎになるのを恐れてタンクに貯め込んだこと

By -  公開:  更新:

作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が8月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福島第一原発の処理水について解説した。

原発処理水を「大問題化」させた「失政」の1つは、騒ぎになるのを恐れてタンクに貯め込んだこと

2023年8月20日、ALPSを視察する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202308/20fukushima.html)

福島第一原発の処理水、放出開始

政府は東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出について、8月24日午後1時にも開始する方針。放出直後に測定した濃度は、8月27日にも公表する見通し。

飯田)トリチウムの濃度を定期的にモニタリングするということです。

事故前は普通に「温排水」として処理水をそのまま海洋放出していた福島第一原発 ~世界中の原発も現在そのまま処理水を放出している

青山)普通に考えて欲しいのですが、2011年3月10日まで、福島第一原発は普通に稼働していました。(処理水は)海中に、それも今回のようにわざわざ沖合へ出すのではなく、当時は目の前の海に「温排水」と称して放出していたわけです。

騒ぎになっている原因の1つは、騒ぎになるのを恐れてタンクに貯め込んだから ~中国の原発が出している処理水のトリチウム濃度は福島第一原発の6倍以上

青山)いまも世界中の原発でそれを出しています。今回、放出される福島第一原発の処理水はそれをさらに薄めていますので、事故前と同じ性質の温排水(処理水)を、さらに濃度を低くして出すだけです。騒ぎになる1つの原因は、騒ぎになるのを恐れてタンクをつくり、貯め込んだからです。

飯田)タンクをつくって貯め込んだから。

青山)タンクがいっぱいになり、「いままで出せなかったものを出します」と言うから誤解されるのであって、最初から出していれば何のことはない、普通に原発が出しているものなのです。中国はあんなに大騒ぎしていますが、中国の原発の1つだけを考えても、福島原発の6倍以上のトリチウムを出しているわけです。

トリチウムは飲料水やコーヒーにも含まれているもの ~除去する必要がないから技術進展しなかった

青山)2点目は、処理しきれずに残るものがトリチウムだと言っているわけですが、この表現もいい加減やめてはどうかと思います。処理しきれないのではなく、処理する必要がないのです。

飯田)処理する必要がない。

青山)トリチウムは三重水素で、量の違いはありますが、私たちが飲んでいる水やコーヒーにも入っています。除去する必要がないから、いままで除去するための技術が進展しなかったのです。

放射性物質の量がゼロでなければいけないのなら、人類は無菌室にいなければならない

青山)私の専門分野の1つは原子力で、本来は原発のテロ防止です。テロを防止するためには、原発の構造を知らなくてはいけませんし、核物質の性質もすべて知っていなくてはいけません。原発テロを扱う人間は世界中にいますが、みんな全体を知っているわけです。

飯田)原発テロを扱う人は。

青山)放射性物質は、「絶対にあってはいけない」というものではありません。2011年に福島の原子力災害があったとき、たまたま私はテレビを観ていました。その立場から観ていたのですが、「放射性物質の量はゼロでないといけない」と言った学者がいたのです。しかし、地球は宇宙に浮かんでいるのですから、毎日放射線を浴びているわけです。

飯田)宇宙放射線ですね。

青山)「放射性物質の量がゼロでないといけない」という理屈は、「細菌が1つでもあってはいけないから、人類は無菌室にいなくてはいけない」と言っているのと同じです。

飯田)無菌室にいなくてはならなくなる。

最初に「原子力発電所は、立地したら冷やさなくてはいけないので温排水が出て、そこにはトリチウムが含まれている」と言わなくてはいけない ~その場しのぎの嘘を言った政府の「失政」

青山)そのときの空気におもねって、こんなことを言うわけです。そういうことの積み重ねが今回の奇妙な話になっていると思います。

飯田)処理水の騒ぎに。

青山)だから漁業者の方も「科学的には理解できるけれど、風評被害が起きるのではないか」、「政府はみんなの理解がないまま出さないと約束したのに、嘘ではないか」と言わざるを得なくなるのです。こういうことを「失政」と言います。

飯田)失政ですか。

青山)その場限りの嘘を言うのではなく、もともと「原子力発電所は立地したら冷やさなくてはいけないので温排水が出て、そこにはトリチウムが含まれている」と言わなくてはいけません。世界のどの原発からも出ているのだと。例えばフランスでは、原発だけでなく、いわゆる核のゴミ処理施設でも出ています。

飯田)再処理施設、ラ・アーグ再処理工場ですね。

青山)ドーバー海峡にたくさん出ている。私はラ・アーグ再処理工場に何度も行っています。あとは韓国の古里(コリ)原発や、月城(ウォルソン)原発にも行きましたが、そこからどのような温排水が出ているのか、20年以上も前からよく知っています。

飯田)20年以上前から。

青山)いまの騒ぎには目が点になります。もともとは事故のショックでタンクをたくさん並べ、「もう何も出さない」と言ってきた我が国の与野党問わず、その場しのぎのことを言う姿勢が根っこにある。それは私も含め、自由民主党議員にいちばん降りかかってくる問題だと思います。

原発処理水のトリチウムは本来、処理する必要がないもの

飯田)青山さんとは以前、ある番組で一緒に仕事をしていましたが、原発事故が起こった直後から「これは何の問題もない。出すべきだ」とおっしゃっていましたね。当時も、再処理施設などの具体的な数値まで出していました。10年遅れで同じ話が出てきましたね。

青山)12年間、ずっと言っていることです。しかし、12年遅れで正常化したかと言うと、していません。「処理しきれないものが出る」と言われたら誰でも不安になりますよね。

飯田)そうですね。

青山)処理する必要がないのです。もう1回言いますが、「地球をまるごと無菌室に入れろ」という話になります。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top