ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月14日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。政府が福島第1原発の処理水の海洋放出を決定したニュースについて解説した。
政府が原発処理水の海洋放出を決定
菅総理)基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に海洋放出が現実的と判断し、基本方針を取りまとめました。
東京電力福島第1原子力発電所で増え続けるトリチウムなどを含む処理水の処分方法について、政府は国の基準を下回る濃度に薄めた上で海へ放出する方針を決めた。具体的には東京電力に対し、2年後をめどに海への放出を開始できるよう、設備の設置などの具体的な準備を進めることを求めている。
飯田)トリチウムの濃度を国の基準の40分の1に、WHOが示す飲料水の基準から見ても7分の1程度に薄めるそうです。
原発処理水の海洋放出はどの国でも行っていること
高橋)そもそもこの報告書が出たのは1年以上も前です。そのときから既定路線ですけれどね。そのときに海外の在外公館の人に説明していますが、反応はありませんでした。反対しても「あなたの国でもやっていますよ」と言われたら反論できませんから。
飯田)今回は中国や韓国が批判しています。
高橋)そう言っていますが、「あなたの国でもやっています」と言われたら、普通、外交では「お互いさまでしょう」としか言いようがありません。
飯田)しかも海流のことを考えると、中国や韓国から放出するとダイレクトに日本に来ます。
高橋)科学的な話をすれば、放出した段階で世界中に拡散して行きます。
飯田)なるほど、希釈されて。
高橋)このようなことを外交レベルでやっているときは、どの国からも反応はありません。ですので、いまこのようにやっているのはまったく政治的な話です。報道もこのような話をきちんとするべきだと思います。「1年前のときは何も言っていなかったでしょう」と。やっていることは同じです。どこの国も、まともに話をしたら普通は批判しないですよ。それでまだ国内の風評被害が残るとすれば、これはもう報道の仕方としか言うことができません。他の国はみんなやっているのに、なぜ日本だけダメなのですか? 報道の仕方、または野党の対応の問題というだけのことです。
海洋放出しても大丈夫なものは大丈夫
飯田)フランスのラ・アーグという再処理施設などでは、日本よりも高い濃度で放出しています。
高橋)トリチウム自体はそれほど害がないので、濃度はあまり関係がないのです。濃度の違いが問題とされていますが、科学的なことを言えば、「大丈夫なものは大丈夫」という話で終わってしまうのです。
「適切なプロセス」と声明を出した米国務省
飯田)各国の反応で見ると、アメリカの国務省は「適切なプロセスだ」というような声明も出しているのですが、それはあまり報じられていない。
高橋)韓国でも中国でも海洋放出はしています。「なぜ日本だけ言われなければいけないのか」という程度の話なのです。
飯田)なかには福島第1原子力発電所の事故を根拠にして、農産物などの輸入に関しても制限をするところもあります。
高橋)それは不合理な制限で、そのような制限をかければ、実はその国民が困ってしまうので、日本も解く必要があると思いますが、このようなことは科学的に話をしないと話になりません。印象論などでやっていても仕方がありません。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。