ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。10月下旬にもその方針が決められる福島第1原発の処理水海洋放出について解説した。
処理水海洋放出
東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、政府は10月下旬にも関係閣僚会議を開いて海に放出する方針を決める。処理水は2年後を目途に濃度を一定のレベルまで下げた上で放出し、政府は風評被害対策や漁業者への補償について検討を急ぐ考えである。
処理水は科学的に飲むことも可能なまでに浄化されている~福島以外の原子力発電所では海洋放出されているという事実
飯田)科学的には安全性に問題はないということであります。
須田)私も今年(2020年)の8月に、福島第1原発の敷地内に入って取材しました。ALPSのなかにも入らせていただきまして。
飯田)ALPS、多核種除去装置というやつですね。いろいろな放射性物質を除去して、トリチウムだけは取り切れないという。
須田)ALPSから出て来た処理水についても、触ることは規則でできないので、ビーカーに入ったものを手に持って実際に匂いや色を確認しました。「これを飲めますか?」と聞いたら「飲めます」と。「飲んでいいですか?」と聞いたら、それは「規則でダメです」と言われて飲むことはできなかったのですが、それぐらいまで、この処理水は浄化されているという状況なのです。
飯田)はい。
須田)重要なことなのですが、トリチウムを含んだ処理水というのは、福島第1原発以外の国内の原発、そして世界の原子力発電所では普通に海洋放出されているのです。福島第1原発の処理水だけができないということは、別に事故があったから、「何か問題があったから、トリチウムを含んだ処理水が出ているわけではない」ということは、ご理解いただきたいと思います。
IAEAがモニタリングするなかでの海洋放出がベスト
須田)では放出すればいいではないかと言っても、あれだけの事故を起こしたために、放出すると風評被害につながりかねない。安全性が問題なのではなくて、風評被害の部分をどうするのかというのが最大の問題点なのです。そこで、2020年2月27日、国際原子力機関(IAEA)の事務局長が、海洋放出は世界でも実施されていることであるが、放出するのであれば、IAEAがモニタリングすることも可能だと、監視することも可能だと提言しています。
飯田)IAEAの事務局長が。
須田)これまでの経緯から、東京電力はいろいろと問題を抱えて来ましたし、国にも信用が置けないのであれば、IAEAのような国際的な第三者機関の立ち会いの下に放出をするということが、私はいちばんベストなのではないかと思います。実際敷地のなかにもタンクがいっぱいになっていまして、これは2022年までしか余力がないのです。では増設すればいいではないかというのではなく、福島第1原発の解体作業はこれから本格化するのです。そうすると解体するための作業スペース、資材を置くスペースが必要になって来ます。現在敷地のなかいっぱいなので、作業スペースがないのです。だから解体作業をスムーズに進めるためには、スペースを空ける必要があるのだということです。
飯田)私が4~5年前になかを見学したときも、あの当時で港のコンビナートに来たかの如く、タンクばかりが目に付きました。それもあと1年足らずというところですものね。
須田)原子力発電所施設の間近まで近づくことができるくらいに、安全性が確保されているという状況は間違いないですね。
飯田)この風評被害ということになると、地元の皆さんはモニタリングなどで、本当に一生懸命やっていらっしゃる。それがなかなかメディアで伝わって来ないというのも問題ですよね。
須田)きちんと伝えるべきだと思います。
飯田)科学的な根拠に基づいてね。
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