作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が8月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。プリゴジン氏のジェット機墜落について解説した。
「ワグネル」トップ、プリゴジン氏のジェット機が墜落 ~意外なことが起きたわけではない
飯田)ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者であるプリゴジン氏が乗った飛行機が墜落したということです。既に遺体が確認されたという報道も出ています。さまざまなものが動いていますが、どうつながっていくのでしょうか。
青山)予定通りとは申しませんが、予想されたことが起きているとも言えます。そう意外なことが起きているわけではありません。もともと民間軍事会社という建て付けに無理があります。ウクライナとの戦いで結局、勝つことができず、ロシアに対してさまざまな不満があり、クーデター未遂も起こした。それなのに無事で済むわけがありません。
飯田)そうですよね。
青山)憶測は出ていますが、「誰がやったか」ということは即断できません。ワグネルはプリゴジン氏の指揮の下、あれだけの残虐行為をウクライナの子どもたちや女性、妊婦も含めて働いてきたのですから、天罰とは言いませんが、まともな運命になるはずがないですよね。
民間軍事会社という建て付けに無理があった ~民間軍事会社に残虐行為をさせて遂行した「無理な戦争」の失敗
飯田)この事象が、ロシアによるウクライナ侵略に与える影響は、それほど大きくないのでしょうか?
青山)影響はあります。先ほど「民間軍事会社という建て付けに無理がある」と言いましたが、プーチン大統領は独裁者ですから、独裁国家として侵略を行うけれど、国家の軍隊ではそれを支えきれない。だから残虐行為を働くためにも、「ロシアという国ではなく民間がやっているのだ」として、無理な戦争を遂行した。それがうまくいかなかったということです。
飯田)ワグネルを使った無理な戦争が。
青山)それをプーチン大統領、ロシアがどう補うのか。端的に言うと、普通の国民に対してまた動員令を強化し、訓練不足のまま戦場に引っ張って行くわけです。
ウクライナではなくアメリカにすがって朝鮮戦争のように休戦に持ち込みたいロシア ~黒海への抜け道だけはアメリカに保障してもらいたいロシア
青山)ロシアは中国の仲介が期待できなくなっていますので、結局はアメリカにすがることになる。ウクライナもアメリカなしでは戦争を続けられないため、アメリカにすがり、朝鮮戦争と同じような休戦に持ち込むのでしょう。
飯田)朝鮮戦争と同じように。
青山)戦争は終わらないのですが、見かけ上、休戦にします。ロシアとしては、徐々に要求水準が下がってきて、いまは勝手に独立共和国と言っているけれど、「本当にできるのだろうか?」と思います。
飯田)ドネツクなどですね。
青山)しかしクリミア半島だけは譲れない。つまり、黒海には抜けたいのです。黒海に抜けて、そこから地中海に出たい。地球温暖化の進展で、以前ほど不凍港を要求しなくなったと言われていますが、まだまだそういう傾向が強いです。
飯田)黒海には抜けたい。
青山)黒海への抜け道だけは保障してくれと。ウクライナとの話し合いではなく、アメリカに保障してもらいたいという方向になるのではないでしょうか。
飯田)ウクライナとの話し合いではなく。
青山)プリゴジン氏の死亡は、民間軍事会社で虐殺行為を行い、ウクライナの人々や政府を屈服させる考えが、最終的に失敗に終わったことを暗示していますので、違う展開にいかざるを得ないですね。
CIAバーンズ長官の秘密裏のウクライナ訪問はゼレンスキー大統領に「休戦」を提案するため ~断られたので暴露
青山)これは私の責任で話しますが、アメリカも実は、ウクライナとロシアの戦争を朝鮮戦争と同じように休戦形式にしたいのです。だから米中央情報局(CIA)の長官をわざわざ秘密裏に派遣し、場合によってはクリミア半島を諦めて休戦することを提案した。しかし、ゼレンスキー大統領がそれを一蹴したので、バーンズ長官が「私は行きました」と暴露したのです。
飯田)そうなのですね。
青山)極秘で行っておいて、断られたら暴露するというのも、バイデン政権の信任に悪影響を与えていますよね。
プリゴジン氏のジェット機墜落は「ウクライナ戦争を鎮めたい」アメリカの思惑とつながっていないことはない
青山)アメリカは早くこれを鎮めないといけません。アメリカ軍は動いていないことになっていますが、本当は隣国ポーランドを含めて、米軍の部隊が展開しています。中国に向かい合おうとすると、二正面になってしまいます。それを避けるためにもウクライナを鎮めたいのです。
飯田)アメリカとしては。
青山)終わりにしたい。休戦にしたい。そのような流れと、プリゴジン氏がどうやら死んだらしいという状況は、つながっているということです。「世界につながっていないことはないな」と実感しますよね。
口が裂けても「停戦を考えている」とは言えないゼレンスキー大統領
飯田)ただ、ウクライナとしては、獲られた領土はすべて獲り返すと言っていますよね。
青山)1ミリでも「場合によっては(停戦を)考えている」と言ってしまったら終わりではないですか。スーパーマーケットや学校、病院で虐殺された国民は「いったい何のために死んだのか」となってしまうので、ゼレンスキー政権だけではなく、国がもたないですよね。
飯田)それを言ってしまったら。
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