キャスターの辛坊治郎が9月6日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、和歌山地検が同日、3カ月余りの精神鑑定の結果、刑事責任能力に問題はないと判断し、殺人未遂などの罪で無職、木村隆二容疑者(24)を起訴したことを巡り、「起訴前に検察の腹一つで決まるのはよくない。裁判中にも精神鑑定を行い、裁判官や裁判員が刑事責任能力の有無を判定する機会を設けるべきだ」と指摘した。
今年4月、和歌山市で岸田文雄首相の演説の際に爆発物を投げ込んだとして逮捕された男について、和歌山地検が6日、殺人未遂などの罪で起訴した。検察は、男の犯行当時の精神状態や刑事責任能力を調べるため、大阪拘置所で鑑定留置を行い、刑事責任を問えると判断した。
辛坊)刑事責任能力とは非常に曖昧なものです。精神鑑定で判定するのは精神科医ですが、その精神科医院の判定を受けて起訴するかどうかを判断するのは検察の権限です。ですから、かなり政治的なバイアスがかかることもあり、私は精神鑑定に関して危惧していることがあります。
今年6月、岐阜市の陸上自衛隊射撃場で隊員3人が自衛官候補生の男に自動小銃で撃たれ死傷した事件がありましたが、男に対する起訴前の精神鑑定が現在、行われています。鑑定後に検察が起訴できないと判断したら、裁判は始まりません。
自衛隊では類似事件が昭和59年に起きています。このときは、山口駐屯地(山口市)で射撃訓練中の隊員が同僚に向けて発砲し、4人が死傷しました。発砲した隊員はその後、「心神喪失」と診断され、不起訴処分となりました。このため裁判が行われず、何が起きたかは公に誰も分からずじまいとなったのです。
私は、裁判が始まってからも精神鑑定を行い、鑑定結果を受けて裁判官や裁判員が刑事責任能力の有無を判定する機会を設けるべきだと考えています。特に重大事件の場合、必要なことです。しかし、日本では起訴前の精神鑑定の結果から検察が刑事責任はないと判断し、裁判が始まらないケースが年間に何百件もあり、圧倒的に多いんです。起訴前に検察の腹一つで決まる現在の傾向を、私はよくないと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)