元経産省官僚で政策アナリストの石川和男が9月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。憲法に「核戦力の高度化」を明記した北朝鮮について解説した。
北朝鮮が憲法に「核戦力の高度化」を明記
北朝鮮の最高人民会議が9月26日~27日に平壌で開かれ、「責任ある核保有国として、核戦力の発展を高度化する」との内容を盛り込む憲法の修正が行われたことがわかった。
飯田)片や日本は70年以上、憲法が変わっていません。
石川)最も近い国の1つである北朝鮮で、国の根本が変わる。しかも、中身は核戦力についてです。日本人は核兵器で攻撃されて敗戦国になったわけですが、そういう時代につくられた憲法を後生大事に持っている。未だに「憲法を改正するかしないか」に関して、野党が言うならまだしも、与党内でも「あっちにいったり、こっちにいったり」しています。
「憲法をどうするか、防衛をどうするか」を決めて行動に移すべき
石川)日本から見れば、核の話は危ない話にしか見えないかも知れません。しかし、私は皆さんと一緒に考えたいのですが、北朝鮮に対して物申すのだったら、それは言えばいいことです。ただ、日本が何か言ってもそれぞれ主権国家なのだから、北朝鮮が聞くわけがありません。
飯田)日本の言うことを。
石川)北朝鮮や近隣国の動きで、日本が「憲法をどうするか」ということと、「核戦力や防衛をどう考えるか」ということを、しっかりと決めて行動に移さなければならないと思います。いつもミサイルが飛んできて排他的経済水域(EEZ)に落ちると、「考えよう」と言うけれど、考えるだけで終わるではないですか。そうではなく、「行動しろ」と思います。
飯田)考えるだけではなく。
石川)防衛については、アメリカや韓国など日本側陣営の国と協調しながらやるのか、あるいは日本独自でやるのか……。日米同盟があるから、日本独自でやることは難しいけれど。そういうなかで、いままで「どうしていくか」を考えてきただけではないですか。
「防衛力を持った」ということを相手国に、また、日本国民に見せつけなくてはいけない ~その強さが日本にはなかった
石川)記者会見で「遺憾だ」と言うのは簡単です。そうではなく、実際に兵器を配備して「防衛力を持った」ということを相手に見せつけるべきですし、我々日本国民にも見せつけなくてはいけないと思います。
飯田)日本国民にも。
石川)日本の戦後の国柄からすると、これには反対が多いと思います。しかし、日本という国は、そういう強さがなかったのではないでしょうか。
自国を自分たちで守る国でなければ「こんな国と同盟を組めるか」と思われているかも知れない
石川)アメリカの傘もあるかも知れませんが、日本人自身がどうするか。自分たちで自国を守る国でなければ、アメリカにも「こんな国と本気で同盟を組めるのか」と心のなかで思われているかも知れません。
飯田)自分で守れないのならば。
石川)それは韓国も同じです。政治的には喧嘩ばかりしていますが、いざとなれば一応、韓国はこちら側の陣営になるのです。
飯田)有事のときには。
石川)防衛費などお金の問題だけではなく、具体的な防衛力を我々国民にまず見せなくてはダメです。
岸田総理には広島出身だからこそ、核シェアリングなどの議論をして欲しい
石川)岸田総理は先日、核廃絶に向けた思いを訴えられました。広島ご出身だから仕方がないかも知れませんが。
飯田)国連総会でも。
石川)一時期、核シェアリングの話が出ましたが、それを言っただけで、いろいろな人が批判するではないですか。それをまた一部のマスコミが針小棒大に報道したり。
飯田)そうでしたね。
石川)あれはおかしな話です。「日本が強くなるためにはどうするべきか」について、真面目に議論してこなかった。それはメディアや政治も含めて反省しなくてはいけないところです。
飯田)メディアや政治も含めて。
石川)岸田政権に求めたいのは、そういう強さなのです。支持率だけがすべてではありませんが、本当に国民の支持と注目を浴びたいなら、それをしっかりと言っていくべきです。広島ご出身の総理だからこそ言って欲しいと思います。
飯田)正論をしっかり言う。これだけ安全保障の関心が高まっているので、受け止める素地は国民にもあるでしょうから。
石川)憲法についても真面目に発議して欲しいですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。