臨時国会10月20日召集へ 「解散」は「超異次元」経済対策を打たねば簡単にはできない 

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元経産省官僚で政策アナリストの石川和男が9月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月20日に召集される方針の臨時国会について解説した。

臨時国会10月20日召集へ 「解散」は「超異次元」経済対策を打たねば簡単にはできない 

2023年9月21日、G7保健フォローアップ・サイドイベントに出席する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/21usa.html)

臨時国会、10月20日に召集か ~政府・与党が調整

政府・与党は臨時国会を10月20日に召集する方針を固めた。岸田総理大臣は、物価高に対応するための総合経済対策を10月中に策定すると表明したが、裏付けとなる2023年度の補正予算案の提出時期は明言していない。そのため、与野党には総理が臨時国会の会期中に衆院の解散・総選挙に踏み切るとの憶測が広がっており、総理の判断が焦点となる。

飯田)「16日ではないか」というような話もありましたが、20日に召集する方針となりました。開会式にお迎えする天皇陛下の日程などを考慮したそうです。

秋に臨時国会が召集されることが多い理由

石川)「臨時国会」と言うと、「臨時にやるのだ」とみんな思うかも知れませんが、毎年やるのです。

飯田)毎年やっていますね。

石川)「秋の通常国会」と名前を変えてもいいのではないかと思います。臨時国会に関しては、夏に台風が来ますよね。そうすると災害が起きやすいので、必ず災害対策を行う。

飯田)台風が来るので。

石川)そのためには予算が必要です。予備費もあるけれど、きちんと災害対策をやらなくてはいけない。法律を変えたり、予算の編成が必要だった時期もあるし、税収の関係で「予算を多少、補正しなくてはいけない」という場合もあるので、「臨時国会」として行っていたのです。

飯田)本当に必要だったので。

石川)しかし、1990年代の前ぐらいから、「景気対策」と称して予算を年度途中で積み増すことがありました。補正予算というより、追加予算のためです。予算は国会を通さなくてはいけないので、臨時国会を毎年やることになった。

飯田)予算を本年度中に積み増すために。

石川)「10月20日の召集」というとニュースにはなるけれど、近年は大体、10月上旬ぐらいには臨時国会が開かれるようなスケジュール感です。私としては、20日だと遅いかなという気もします。

「超異次元クラス」の対策を打たなければ解散は簡単にできない

石川)解散についても、「経済対策をやる」と言うと「解散か」という憶測になる。この憶測も毎年ありますが、臨時国会では景気対策、経済対策を行うのです。しかし、だからと言って毎年解散しているわけではありません。

飯田)毎年解散してはいない。

石川)解散する人は、選挙に勝つためにやるわけです。いまの世論調査の動向や政権支持率などを考えると、よほど国民にインパクトを与えるような、それこそ岸田総理がよくおっしゃっていた「超異次元クラス」のものを出して「政府、岸田さんは本気かも知れない」ぐらいの対策を打たないと、そう簡単に解散できないのではないかと思います。

選挙に勝つためには大きな対策が必要 ~国民はそこに注目するべき

飯田)内閣改造がありましたが、結局、支持率はさほど動きませんでした。

石川)仮に総選挙を行うとしたら、また内閣が変わるのです。

飯田)この間、改造したばかりだけれど。

石川)そこで負けたりすると、総理大臣まで変わってしまうので、そういうわけにもいかない。当然、解散権は総理に、与党側にあるわけですから、勝つことを考えれば対策の中身次第だと思います。

飯田)対策の中身。

石川)薄い中身で解散したら、選挙演説で何を言っていいかわからないではないですか。「異次元のすごいことをやります。どうぞ国民の皆さんの理解を」くらいの大きな対策がなければ、選挙演説で自民党や公明党の議員が困ってしまうのではないでしょうか。

飯田)選挙演説するときに。

石川)そう考えると、対策の中身について注目すべきだと思います。我々国民に返ってきますし、それを見て我々は投票に行くことになるわけですから。

飯田)解散となれば。

岸田総理が掲げた「経済対策5本柱」では期待できない ~インパクトが必要

石川)いま政府が出しているメッセージからすると、どうでしょうね。

飯田)「5つの柱」が表明され、物価高対策や少子化対策など、メニューは出ていますが。

石川)先日の記者会見で総理が示した5つの対策は、まだ具体的なものではないと感じたので、いま政府内で肉付けしているのでしょう。具体的なメニューがいつ出てくるかはわかりませんが、そう遠からず出てくると思います。そのときに我々がどう感じるか、世論がどう動くか。現状の5つの対策では、あまり期待できません。

飯田)期待できない。

石川)期待できないというのは、やることが悪いというわけではなく、インパクトがなければ意味がないのです。心が動きませんので。金額や具体的に「こういう制度をこう変える」という内容を出さないと、関心を持たれない。関心を持たれなければ選挙は盛り上がらず、投票にも行きません。そうなると、私は政権の浮揚はないと思います。

飯田)ただ、自民党や公明党の人からすると、投票率が上がらない方がいいのではないですか?

石川)昔、森喜朗さんが「選挙には行かない方がいい」などと言いました。しかし、私は森さんを尊敬しているけれど、投票には行かなくてはいけません。「高い投票率で勝った与党が、国民の信任を得た」と我々は思うわけではないですか。

飯田)それが大義名分であり、お墨付きですよね。

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