米「利下げ」がきっかけで円高に「逆回転」する可能性も 須田慎一郎が解説

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ジャーナリストの須田慎一郎が11月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月の米雇用統計について解説した。

米「利下げ」がきっかけで円高に「逆回転」する可能性も 須田慎一郎が解説

※画像はイメージです

米10月雇用統計、就業者は前の月より15万人増加

米労働省は11月3日、10月の雇用統計を発表した。統計によると、農業分野以外の就業者数は前の月より15万人増加。17万人程度の増加を見込んでいた市場予想を下回った。

飯田)そして、失業率が悪化しています。

須田)アメリカの景気は雇用が第一です。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策も、すべてこの雇用統計を見ています。「景気後退局面に入ってきたのかな」という見方をすることもできます。

今後、利下げのタイミングを窺う展開になるか

飯田)アメリカはコロナ禍に大きな財政出動を行ったこともあって、景気が過熱し過ぎたのではないかという話もありました。これまではブレーキを踏み続けてきたという感じでしたが、ようやく効いてきたのでしょうか?

須田)これまでは積極的に利上げを行ってきました。年内の利上げはあと1回チャンスがあるのですが、それを使うことなく、場合によっては利下げのタイミングを窺う展開になるかも知れません。

飯田)次は12月に予定されていますが、3会合連続で据え置きなのか、あるいはいきなり利下げがあるのか。

須田)雇用統計の今後の動き、特に増加がどの程度まで下がっていくのかが見所だと思います。

アメリカが利下げすれば円高になる可能性も

飯田)これを受けて円相場が少し円高に振れていますが、これで利下げすることになれば、円ドル相場はまた逆回転するかも知れませんね。

須田)一方で、日銀のスタンスとの兼ね合いなのですが、外国為替マーケットの大部分は実需よりも投機が動かしていきます。この金利差を投資家たちは見ているので、それが縮まってくれば、一気に逆回転になると思います。

飯田)日本の金融政策は一応、緩和しているとは言っています。1%としている10年物国債の上限を、一定程度超えることを認める方針です。こうなると、むしろ円高の方に振れがちですか?

日銀統計の需給ギャップがプラスになれば、利上げに向けての準備が始まる

須田)振れる可能性はあると思います。需給ギャップについては内閣府が数字を出していますが、日銀も需給ギャップの統計を出しています。これはまだマイナス0.数%のところなので、これがプラスになってくると、いよいよ日銀も利上げに向けて準備を始めるのだと思います。

飯田)そうすると、日米の金利差が逆に縮まることになる。

須田)縮まってきて、円高方向に動いていく状況になります。あえて踏み込んで言いますが、私の予測では1ドル=125円くらいに落ち着いてくると思います。いまは金利差が開き過ぎていますが、どこかのタイミングで終息に向かっていくでしょう。

飯田)1ドル=125円くらいであれば、日本の輸出企業にとっても、さほど利益を削られることもないし、輸入物価もある程度は落ち着いてくる。そのときに内需が拡大する状況になっていれば、いちばん心地がいいですよね?

須田)金利上昇局面で内需が拡大していないと、内需を縮小させてしまうことになりますからね。

飯田)お金を借りて何かをしようとしても、金利が上がれば動き辛いですよね。

早くしなければ財政出動しても効かなくなってしまう

須田)金融緩和策というのはチャンス待ち政策なのです。つまり、政府の財政出動を待っているという政策です。とは言っても、需給ギャップの解消や日米金利差の縮小などを考えると、そのチャンスもなかなか続かないのだろうと思います。

飯田)タイムリミットが見えてきた。

須田)それ以降は「財政出動してもあまり効かない」という状況になるかも知れません。

飯田)昔そんなことがあり、確かにそのときは1ドル=100円を切るような円高でした。チャンスが残されていないのであれば、今回の補正予算は本当に大事ですね。

須田)非常に大事なのです。

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