キャスターの辛坊治郎が11月27日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。福岡市が実証実験を行っている自動運転のバスが25日、タクシーと接触事故を起こしたとのニュースに触れ、「日本では、自動運転と人間による操作のどちらが優れているかについて、冷静な比較衡量がなされていない」と苦言を呈した。
福岡市が25日、実証実験を行っている自動運転のバスがタクシーと接触事故を起こしたと発表した。バスは前方に停車していた車両を検知して自動で停車した後、前の車両が動き出したため、方向指示器を出して低速で発進したところ、後ろから走ってきたタクシーと接触した。福岡市は「事故の原因や過失割合は警察などと協議している」としている。
辛坊)日本では今年5月から、全国初となる「レベル4」の高度な自動運転車両の移動サービスが福井県永平寺町で行われています。ただ、遠隔監視の下、特定のルートで運行することなどが条件となっています。また、最高時速12キロでゴルフ場のカート並みです。この自動運転車両は10月、停車中の自転車と接触事故を起こしました。
ニュースにあった福岡市の自動運転バスもトロトロ走る点では、福井県永平寺の自動運転車両と同様です。しかも、オペレーターが1人乗り込んでいます。「それって自動運転か? だったら、人間が運転すればいいじゃないか」と思わずツッコんでしまいます。ただ、日本では、こうした形でしか実証実験に許認可が出ないんですよ。ですから、世界の自動運転から、どんどん後れを取っているわけです。中国やアメリカの一部地域では、すでに無人タクシーが営業運転を始めていますよ。
後れを加速させる、もう1つの理由があります。どれだけ優れた自動運転車両が今後普及したとしても、事故はゼロにはなりませんよ。なぜなら、車道を普通に走っている車の前に、いきなり飛び出されたら、自動運転であろうと人間が運転していようと、避けられない事故はあるわけですからね。重要なのは、自動運転と人間が運転するのと、どちらがより安全かを比較衡量で冷静に判断することです。その必要があるにもかかわらず、日本ではそうした比較衡量がなされていないため、後れが加速しています。
自動運転を巡っては、ちょっとした事故でも起きると、「やっぱり事故を起こしたじゃないか」とニュースになります。こうした姿勢が世の中の発展を妨げるのではないかというのが、私の感覚ですね。事故はあり得るわけですから、自動運転のほうが人間による操作より事故率が低いと検証されれば自動運転を推進すればいいし、やはり人間が操作するほうが自動運転より安全だと検証されればどこかで立ち止まる必要があります。この冷静な分析が日本の報道ではなかなかできていないと感じます。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)