「中国の代替」を見据え、ベトナムとの関係を格上げ
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元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が11月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月27日に行われた日・ベトナム首脳会談について解説した。
日・ベトナム首脳会談、防衛装備品の無償供与に向けて協議を確認
飯田)11月27日、日本を訪問中のベトナムのボー・バン・トゥオン国家主席と岸田総理大臣との間で首脳会談が行われました。日本が同志国の軍を支援する枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関して、ベトナムへの適用に向けた議論を深めることで合意しました。両国の関係も「包括的戦略パートナーシップ」に格上げされます。
単純労働を望むのではなく、お互いがWin-Winとなる体制を構築しなければならない
片岡)ベトナム経済に関しては、「人件費の安さや価格の有利さなどを活かして経済成長する」という段階から、生産性を高める、あるいは人の能力を高めて経済成長していく状況へ、徐々にフェーズが移っているような気がします。日本としては「ベトナムにどこまで協力できるか」というような目線が1つあると思います。
飯田)フェーズが移るベトナムにどう協力できるか。
片岡)日本側は、短期的には人手不足もあり、人的な労働力としてベトナムの方々に来てもらうというニーズがあるわけです。しかし、「お互いが発展していく」という観点に立つと、いつまでも単純労働をベトナムの方に行ってもらうような形では、両国の協力は成り立ちません。やはりお互いがWin-Winになるような体制を構築する必要があると思います。それもあって格上げするという方針なのでしょう。
中国の代替としてのベトナム
飯田)いままで中国で生産していましたが、代替の第一候補と言うと、近くということもあり、ベトナムが挙げられます。
片岡)経済安全保障面でも対中国を前提とした場合、違う代替地をつくっておく必要があるので、そういうメリットもあると思います。
このタイミングでAPECの枠組みをより強固なものにする
飯田)ベトナムを含めて、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係も今年(2023年)で50周年ですが、ASEAN全体の今後の発展を期待する一方、「これから高齢化が進む」という悲観的な指摘も出ています。
片岡)日本はある意味、高齢化のフロントランナーです。その日本が高齢化の問題を乗り越えていけば、ASEAN地域にもよい影響が波及していくと思います。対中国を考えると、周辺国が協力していく必要があるので、ASEANや豪州、アジア太平洋経済協力(APEC)などの枠組みをこのタイミングでもう1回見直し、より強固なものにしていくことが大事だと思います。
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