英・トラス元首相の「減税策」が間違いだった理由
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数量政策学者の高橋洋一が10月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。英・スナク首相の就任について解説した。
英・スナク首相が就任 ~トラス前首相の減税策が間違いだった理由
英国のトラス前首相の後任として与党・保守党の党首に決まったスナク元財務相(42)は10月25日、ロンドンのバッキンガム宮殿で国王チャールズ3世の任命を受け、新首相に就任した。
飯田)イギリスのスナク首相が就任されました。スナクさんはもともと財務大臣であり、かつ投資銀行出身で金融にも明るく、「これから先は財政規律を重視する」と言っているようです。
高橋)前任のトラスさんが批判を受けたのは減税策によるものですが、いまのイギリス経済の状況で減税策を行うというのは、マクロ経済の解としてあまり考えられないのです。イギリスはEUを離脱しましたよね。さらにいまはロシアとの関係でコストアップになっています。
飯田)エネルギーコストが上がっていますね。
総供給が下がっている状況で需要をつけることは間違い ~さらにインフレを高くする
高橋)マクロ経済で見ると、「総供給が下がっている」という状況なのです。そんなときに需要策をしてしまったら、インフレになるに決まっています。これは解にならないのです。
飯田)なるほど。
高橋)総供給が下がっているときに、総供給をまた戻すような政策なのです。それは「EUを離脱したからTPPに入って頑張る」というような政策になります。このようなときに需要をつけると、インフレをさらに高くするから、スタグフレーションのときの間違った対応であり、マクロ経済の対応が間違いです。
飯田)そうなのですね。
高橋)イギリスはこの間、財政破綻の確率が高くなっているわけではありませんが、このような減税策をするから「財政規律が」と言う人がよくいます。しかし、データ的に見れば財政破綻については全然変化がありません。新聞が記事にしている論調とは違うように思います。
日本の場合は総供給が多くて需要が少ないので総需要を喚起させる減税は有効
飯田)イギリスを見て、「日本も減税だ」とアピールしたら市場から狙われるのだ、と言う人がいますが。
高橋)日本の場合は総供給が多くて需要が少ないので、実は総需要策は対策となります。経済状況によって、総供給、総需要というのは需給ギャップが異なるため、それに応じてマクロ対策を行わなければいけないという1つの例です。
飯田)総合経済対策が岸田政権からも発表される見込みですよね。
高橋)日本では、総需要を喚起させるような減税はありなのですけれどね。それが出ないと需給ギャップを回収できないので、上手く経済は回りません。
飯田)電気代に対して補助金を投入したり、再生可能エネルギーの賦課金をやめるなどの話が出てきています。
高橋)それはいいことですね。
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