安倍派だけが追及されるのは事務方が「完落ち」したため 「安倍派裏金疑惑」に須田慎一郎が言及

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴とジャーナリストの須田慎一郎が12月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍派の裏金疑惑について解説した。

記者会見を行う松野博一官房長官=2023年12月7日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

記者会見を行う松野博一官房長官=2023年12月7日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

内閣改造で「安倍派一掃人事」が総理自身に降りかかる場合も

飯田)各紙が安倍派の裏金、パーティー券のキックバックについて報じています。あっという間に大きくなったイメージがありますが、どうご覧になりますか?

青山)目下、2つポイントがあります。まずは総理が内閣総辞職ではなく、内閣改造と人事、しかも安倍派をすべて追放するような形を取るのではないかと言われていますが、信じがたい大胆なやり方ですよね。もし岸田さん本人に捜査の手が及ぶことになったらどうするのか。一発でアウトですよね。

飯田)そうなりますね。

青山)総理かどうかは別にして、岸田派にも副作用があるのはほぼ確実な情勢です。いまさら総理もあとに引けません。岸田総理は真面目な人ですので、真面目な人が決心するとこういうことになるという典型だと思います。

見せしめのために自宅への家宅捜査も

青山)もう1つは捜査の行方です。おそらく政治家は在宅起訴だと思います。これで政治家は1人もやれない、事務方だけだったとなれば、かつて金丸信さんがペンキを投げられたような状況になってしまいます。東京地検はそれを気にしているようなので、在宅起訴は必ず行うでしょう。ただ、在宅起訴は基本的に任意捜査になります。まずは強制捜査のうち、家宅捜索をするかどうかですね。普通はするはずです。例えば議員会館の議員事務所や、派閥の事務所、清和会(安倍派)の事務所まではおそらくやると思いますが、見せしめのつもりなら自宅までやります。

慎重に捜査を進める検察

青山)記者用語で「ガサ入れ」と言われるものです。それを行ったあと、政治家の身柄を取るのかどうか。要するに逮捕ですが、そこまで及ぶのか、それとも任意捜査のまま起訴まで持っていくのか。起訴できたとして、裁判になれば捜査段階から裁判まできちんと見なくてはいけません。捜査段階で新聞などは完全に決めつけて書きますが、それは民主主義の手法ではありません。裁判になったときに、政治家が「記載するな」と指示を出したのかどうか……。「出した」と言うなら証拠は何なのか。下手をすると無罪ですよね。

飯田)無罪の可能性もある。

青山)そうなると検察庁は大打撃ですので、検察はいま慎重に見ていると思います。新聞やテレビが大騒ぎしているのは、検察がどんどんリークするからです。今回、そこは派手に動いています。

飯田)そうですね。

青山)しかも新聞を選んでいる。広島の「河井夫妻選挙違反事件」の際は、検察の味方だった新聞には優しくリークし、そうではない新聞にはリークしないようにまでしています。このようなやり方は、私は久しぶりに見ました。かつて事件記者でしたから、多少は知っていますが。岸田総理の思い切った人事が果たして成功するのかどうか。下手をすると自分に降りかかってきます。

飯田)総理自身に。

青山)もう1つが、捜査から裁判の行方まで。これは簡単に終わる話ではありません。

安倍派の事務方が「完落ち」したために安倍派だけがターゲットになっている

須田)今回のキックバック問題ですが、パーティー券を販売し、ノルマを超えて売った分に関しては、自民党において5割が返ってくると言われています。ただ、安倍派が前面に出る形で報道されていますが、キックバックに関して言えば安倍派だけではなく、ほとんどすべての派閥が行っています。

飯田)すべての派閥が。

須田)そのため、「内閣改造を行って三役から安倍派を外す」と閣僚交代したあと、また他の派閥から出てくれば、岸田政権は立ち往生すると思います。ただ、先ほど青山さんが特捜部の動きについて説明されましたが、「なぜ安倍派がターゲットになっているのか」と考えると、おそらく安倍派の事務方が「完落ち」してしまったのです。

飯田)なるほど。

須田)だからいちばん手厚く特捜部サイドに情報が集まっている。検察にとっては、黒川元東京高検検事長の麻雀事件も含め、(安倍派は)人事に手を突っ込んできた人たちなのです。「法務・検察人事に手を突っ込んできた清和会は許すまじ」というような怨念があるので、意図的なリークが始まったのではないでしょうか。

インターネットを使った工作活動は許しがたい

青山)いまインターネット上で、「青山繁晴は安倍派に属していながら好きなことを言っている」と意図的に流しているグループがいます。これは犯罪行為です。私は議員になった当初から派閥にいっさい属さず、準派閥グループにも属さず、完全無派閥で親分は誰もいません。献金も1円も受けていませんし、パーティーも自分では開きません。後援会もつくりませんし、後援会長もいません。地元もつくらず、選挙活動もしないという形を貫いています。このようなことをメディアはいっさい報じません。「自由民主党の政治家はみんなパーティーを開き、どんどん金を儲けている」ということしか報じず、違う生き方をしている議員がいることは絶対に報じない。本来は公平に見ていただくべきだと思いますし、インターネットを使った工作活動は許しがたいです。

須田)青山さんはご自身の選挙活動でも、誰の応援も寄せ付けませんよね。

青山)私は公示にならない限り、選挙活動自体しません。地元もつくっていないので、地元に帰ることもありません。そういうやり方もあるのです。ただし、他の議員にこのやり方を求めたこともありません。いま、私は「護る会(日本の尊厳と国益を護る会)」という議員集団において、94人の議員の代表ですが、代表だからそうしているのです。あえて言いますと、今回のことを機に派閥は全廃するべきです。全廃したあとの新しい議員集団のモデルとして、「日本の尊厳と国益を護る会」……政策だけで結びつき、お金も動かず、地位の割り当てもしない会をみんなと一緒にやっているわけです。

飯田)「護る会」は派閥のような活動をしているわけではなく、3本柱の政策を詰めているのですよね。

青山)皇位継承は男系・父系で守ること、これ以上の国土を中国と韓国に奪われないということと、古い言い方ですが、「スパイ防止法」の制定です。この3つに賛成する人は誰でも受け入れています。

飯田)逆に言えば、それ以外の政策で多少見解が違っていても……。

青山)多少ではありません。

飯田)そうですね。LGBTの話は全然違いますね。

青山)LGBTに関しても、反対したのは私と和田政宗さんだけです。和田さんは行動を共にしてくれました。例えば増税をめぐる話だと、つい最近の自由民主党の会合でも私は防衛増税の反対を貫いていますし、「護る会」の役員のなかで、防衛増税をいま決めろと。きょう(12月12日)の新聞にも出ていますし、見送りになりましたが、「見送りにしろ」ということを強硬に主張して激突しています。でも「護る会」には何のさざ波も立ちません。

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